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設計事務所の壁一面に 壁一面の本棚 奥行250mm / Shelf

設計事務所を経営されているお客様、その新しい移転先に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」縦7コマ×7コマを設置していただきました。大容量の本棚に専門誌や専門書などを収納し、壁全体を覆うように設置されています。この壁面を背にして左側の窓から光を取り入れて、大型のモニターの置かれたデスクに着席して執務する、という配置です。

上段の背後に長押が隠れていて、この長押に対して転倒防止金具で固定してあります。天井高にあわせて縦板をカットしてあるので床から天井までいっぱいに届く高さになっています。縦板と天井との隙間がわずかしかないために、万が一、前のめりの方向へ倒れる力が働いたとしても縦板が天井にかかって転倒を防止します。

マルゲリータの本棚は、四隅に置かれたブレース材の働きで水平方向への剛性が十分に確保されているために背板をつける必要がなく、奥行きの全てを収納スペースとして使えます。また、棚板を通して背後の壁面が見える構造になっています。厚さ15mmの縦板と横板にそれぞれ切れ込みを入れて、相互に嵌合させることで組み立てられています。両端の側板と横板とは最小限のボルトで固定されており、ボルトによって両脇から挟み込まれるような力が働いています。縦板と横板とは短いスパンで固定されているために荷重に強く、重いコンテンツをたっぷりと収納した場合にも、棚板に「撓み」が生じることはほとんどありません。奥行250mmの本棚の1コマあたりの耐荷重は約30kgあります。

この本棚の奥行250mmは一般的な本棚のサイズで、最上段と最下段以外のコマの内部有効寸法は幅325×奥行250×高さ335mmあります。美術やファッション、建築関係のマガジンなどに多い“A4サイズよりも少し大きめな”コンテンツを収納でき、A4サイズの書類はもとより用紙を綴じるファイルやファイルボックスなども収納できます。蔵書が増えてきたら、単行本を奥に置き、その手前に文庫本などの小型の本を置いて2列にすることで大量の蔵書の収納が可能になります。書籍を2列にする場合には専用アクセサリー「本棚の中の棚」を使って後列の書籍をわずかに高くして収納すると、背表紙が少し見えるようになって探しやすくなります。

マルゲリータの本棚には背板がないので棚板を通して背後の壁が見えるのが特徴ですが、本件では本棚の背後に長押があるために、壁と棚板との間に小さな隙間ができています。この小さな隙間を光が通ることによって、グラデーションのついた影が本棚の背後に現れています。その影は棚板にも反射して奥行きの深さも演出しています。棚板とブレース材の見付には窓からの光が当たってハイライトになっていて、この細い線によるグリッドラインが最前面に浮かび上がっています。グリッドの形状から和室の障子が連想されるために、壁面には陰影を含んだ光面としての印象も生まれています。

室内の柔らかい反射を受けて天井に写る光、奥の壁にわずかに届く光、棚板の側面や下向きの面にできる深い影などが相互に柔らかく反映しあいながら、納められた書籍の背後には別の空間へつながるかのような微かな抜け感が感じられて、本棚は、まるで慎重にデザインされた間接照明であるかのようにも見えてきます。

3段目より下の段には図録や美術関係の大型の書籍やバックナンバーの揃った専門誌などが並びます。セルごとにグループ分けされていて、ボリューム感のある光景を作っています。一方、最上段とその下の段には文庫本や比較的小型の単行本が並び、このゾーンは見た目にも軽やかな配置になっています。最下段は、縦板で高さを調整しているのでセルの有効高は低くなっています。コンテンツを収納することなくブランクのままにしてあり、濃紺のパンチカーペット敷きの床と、背後の壁の前に8枚の縦板の足が並ぶ様子がくっきりと目に入ります。大量の書籍を収納した大型の本棚が壁いっぱいに広がっているにもかかわらず、不思議な浮遊感が生まれています。左から2列目の下から4段目のセルには、金色のフィルムでラッピングされたボトルが1本だけ置かれていて、光を集めたオブジェクトとして遊び心のあるアクセントになっています。書籍の並ぶ周囲のセルのコンテンツとは関連性の感じられないアイテムですが、幅15mmでくっきりと浮かび上がるグリッドラインの上に配されていることで、全体のビジュアルが統合されて、おしゃれな遊び心が際立っています。


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マルゲリータお客様使用例をYouTubeでもご紹介しています。