都内のマンションにお住いのお客様。書斎の入り口に繋がるアルコーブに天井までの「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」を設置、まるで大学の研究室の様な機能的なレイアウトをされています。
寝室兼書斎の入口のドアを開くと、目の前に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」縦7コマ×横7コマの本棚が設置されています。この本棚が設置されたことで、ドアは全開にできなくなりましたが、通路としては十分な幅が確保されています。また。ドアを閉じれば本棚の右端の列に手が届きます。大きな壁面の床から天井までいっぱいに広がる本棚に蔵書やファイルなどが密度高く配置され、ドアの前に広がっていた何もない壁面は、大容量の壁面収納スペースに変貌しています。
本棚は壁面にぴたりと寄せて置かれ、床から天井までの高さに収まり造作家具のように壁面を覆い尽くしています。本棚は縦板と横板の嵌合で形成されて四隅に置かれたブレース材が水平方向への剛性を確保しているために背板がなく、背後の壁が本棚に置かれた書籍などを透かして少し見えています。
本棚に書籍などを収納すると、どうしても前のめりの方向への力が働きますので、縦材が床と接する部分には楔を噛ませてあります。本棚は天井すれすれまで高さがあるので、万一、前後方向への大きな揺れがあったとしても転倒することがないようになっています。
いくつかのセルで書籍が前後2列に配置されています。後列に並んだ書籍の背表紙はセルの高さいっぱいまで持ち上げられて背表紙が半分見えており、奥に並んでいる本のタイトルがわかります。これは専用アクセサリーの「本棚の中の棚」を活用した収納です。「本棚の中の棚」はコの字型の小さな棚で、セルの中に挿入して段差を作るツールです。後列の書籍を棚を使って少し高くしてセルの中の空間を有効に活用します。
奥行き250mmの本棚では一般的な単行本によくあるB6判や四六判の本と文庫本や新書版などの小型の本を前後2列に並べて収納できます。棚のサイズにはバリエーションがあるので必要に応じて組み合わせてお使いいただけます。下方のセルでは、奥の列が菊判で手前はA6判のため、わずか7mmですが本がセルからはみ出しています、しかしこの7mmは一見しただけではほとんど気にならない状態と言えます。
本件では、本棚に収納されているのは書籍やファイルばかりではなく、写真立てに飾られた写真、小さな人形や整理ボックスに収められた文房具や色紙に書かれた大切な言葉など、棚の中の小さなスペースに暮らしの温もりが伝わる表情豊かなモノの数々がたくさん並べられています。
こうした細々としたモノを、視界に入らないように片付けたり用の済んだモノとして手放したりしてシンプルでミニマルな景色を作るテイストが好まれる場合もありますが、本件のように本棚の中に生まれるニッチなスペースを生かしてたくさんのモノを並べてお気に入りに囲まれた一角を作ることもまた、心地よい暮らしかたのための選択の一つです。マルゲリータの本棚は、壁面に等間隔に並ぶ棚板の見付が一様なグリッド状のラインを作り出して全体を覆うことで、壁面を一つの大きな印象にまとめあげます。本件では色やサイズや用途がさまざまな、持ち主にとって大切なモノたちが等間隔のグリッド上に収まっていますが、グリッドによって作り出される「流れる時間を静止させるような効果」が働いて、全体としての壁面には落ち着いた印象がもたらされています。
本棚前の通路を通るとベッドと窓に面したワークデスクがある清楚な空間が開けます。ベッドから、あるいはデスクから入口の方を振り返ってみると、クローゼットの脇に本棚の側板だけが見えています。蔵書や大切なモノを満載した本棚の賑やかな様子は、この配置角度により視界から遮られて、室内からの眺めはミニマルな空間に抑制されています。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井やまで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。