都内のマンションにお住まいのお客様。リビングダイニングの一角、キッチンに面したスペースに「Shelf 壁一面のコミック棚 奥行180mm」をL字型に2台並べて設置されました。本来であればキッチンカウンターを介してダイニングスペースとして用いられる場所ですが、そこをあえて音楽を中心とした特別な空間へと作り替えた事例です。


このCD棚の構成で特に目を引くのは、二つの工夫です。ひとつはL字型の配置です。片側のShelfを端部ごと壁にあてがい、もう片方をセルの途中に差し込むように組み合わせることで、通常であれば生じやすいコーナー部分のデッドスペースを生みません。確かに片方の端部奥は手を伸ばしにくくなりますが、そこは日常的にはあまり使わないものや人に見せたくないものを収める場所として活用でき、機能的に意味を持たせています。収納のあり方に「奥行き」を与える発想といえます。






もうひとつは棚の前面に設けられた低い土手です。これは地震時にCDが前方へ飛び出すのを防ぐためのもので、日本の住宅事情を踏まえた安心感のある設計です。大量のCDを端正に収めつつも、安全性と実用性を両立させている点に、この空間全体を長く使いこなすための工夫が凝縮されています。






L字型に仕上がった壁一面のCD棚は、リビングの中でひときわ存在感を放ちながらも、その前に置かれたワークデスクや室内の壁との取り合いにあわせて敷かれたカーペットと調和し、自然にゾーンを形成しています。床に敷かれたカーペットは視覚的にも領域を区切り、そこに腰を下ろすと日常のリビングとは異なる雰囲気が生まれます。
音楽に囲まれた空間に身を置くことで、生活の中にひとつの小さな「異空間」が生まれました。リビングの一角でありながら、そこに入った瞬間に気持ちが切り替わり、音楽を楽しむ時間をより濃く味わえる。端正な本棚と暮らしの工夫が合わさり、日常の中にさりげなく特別な時間をつくり出す実例といえます。

この事例と関連するプロダクト

天井まで目一杯、壁一面を本棚に。コミック本、文庫本を納める薄型本棚。
その他の事例を見る


