前回の記事に続き、郊外のタウンハウスにお住いのお客様です。
(前回の記事はこちら)
専門書籍の並ぶ部屋とは打って変わってこの書斎ではモニター及び映像関係の資料、DVD等を中心に使われています。同時に大学での講義をオンラインで行うためのPCデスクとそれに必要な資料、書類等々がまるでコックピットの様に置かれています。こちらの部屋には「Shelf 開口部のある本棚」を設置いただきました。
開口部のある本棚にモニターを設置
この書斎では、腰窓のある壁面の床から梁までのスペースに、「Shelf 開口部のある本棚」を設置しました。本棚は縦6コマ×横7コマで構成され、中央部の縦3コマ×横3コマ分の棚板を抜いて開口部を設け、大きなモニターを設置するスペースとしています。本棚の背面には巾木の厚みを吸収するためにカットが施されています。また、本件では腰窓の框にぴったり嵌め込むためのカットも施し、壁面に沿って設置されています。最上段は梁までのスペースを無駄なく活用できるように高さが調整されており、本棚として隙間なく活用されています。
開口部上部の収納力
マルゲリータの本棚は、短いスパンで棚板を組み合わせているため、書籍などを満載してもその重さによる棚板の撓みがほとんど発生しない作りです。本件のように棚板を抜いて開口部を作る場合、開口部の上部に桁を2本渡すことで強度を確保します。この補強材により、開口部の上部のセルも他のセルと同様の剛性を持ち、書籍などを満載することが可能です。この構造は、開口部を作りながらも本棚全体の耐久性と機能性を保つための効果的な方法です。
本棚の収納力
最下段には奥行き350mmを活かして、LPレコードやレーザーディスクなどが収納されています。この段以外のセルには、専用アクセサリーである「本棚の中の棚」が設置され、セル内に段差を作っています。本やDVDを前後2列に並べて収納すると、後列に何が並んでいるのかが分かりづらくなりますが、この棚の中に高低差を作ることで、後列の背表紙が見えるようになります。これにより、大量のコレクションを収納する際、収納可能な量が倍増するだけでなく、コンテンツを目視で確認しやすくなるという利点もあります。
開口部には大型のモニターが設置され、その下には木製のラックが置かれています。このラックの木材の色や板の厚みはマルゲリータの本棚と似ているため、自然に収まっています。ただし、このラックは板のスパンが長いため、重量のあるものを設置すると棚板がたわむ可能性がありますので注意が必要です。本件では、モニターの脚がラックの両側にあるため、辛うじて成立していますが中心近くにあると間違いなく撓むので注意は必要です。
本件の本棚には主にDVDが収納されています。DVDケースは規格が揃っていることが多く、本棚に並べた時に外観が整いやすいのが特徴です。同じシリーズのDVDを並べると、背表紙のタイトル文字が整然と並び、一貫した印象を与えます。また、レーベルが違ってもケースの厚みや高さは基本的に同じため、背表紙が一面に並ぶ様子は統一感があります。しかし、DVDケースはデザインに創意工夫が施されていることも多く、そのため、LPレコードやCDよりも変化の幅が大きく、バリエーションが一つの魅力となっています。
垂直線と水平線が整然と組み合わさった格子状のラインを見せる本棚の中央には黒い大きなモニターが配され、四隅のブレース材が視線を集中させる効果を生み出し、ダイナミックな景観が形成されています。
マルゲリータの本棚は背板がないため、本棚に収納されたDVDの隙間から、薄いカーテンを通した光が差し込みます。この光が本棚全体を柔らかく照らし、間接照明のような効果を生み出しています。上部には、窓からの光が棚板の内側に反射し、室内全体に広がっています。また、ブレース材が入ったセルは鋭角部分が下を向いており、コンテンツを収めづらいため、空間がブランクになっています。この三角形のブランク部分では三つの面に光が反射し、本棚の両隅に光源があるように見える効果を発揮しています。
このように、間接照明のような優しい光の中で、棚板の見付が細い線の格子模様として浮かび上がり、和室の障子のような落ち着いた雰囲気を作り出しています。この効果により、室内全体がリラックスできる空間となっています。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
SERIES04
本棚にテレビを入れる
このシリーズではマルゲリータの本棚をテレビ台として利用するメリットや実際のご利用事例を詳しくご紹介していきます。
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