この度、新たに東京に開設された税理士事務所の一室に「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を階段箪笥の様に加工して設置いただきました。
細長い執務スペースの壁に沿って本棚は置かれています。段状に加工されたその本棚は入口から向かって奥を見た際に本棚の側板のボリューム感を軽減し空間に対して自然に引き込まれるような印象を与えます。上部にいくにつれその側板の見付寸法は徐々に狭くなり、そこに廻り込む陽光の効果も相まって段階的な透明感が増していきます。その階段状の段に観葉植物も置かれている為その効果は一層高まります。
また、その本棚を正面から見ると基壇として捉えられる下方2段は全て見せない収納としての専用カセットで埋められ、そのマッシーブな表層が安定した見え方になっています。
「Shelf 奥行350専用カセット」は最下段に「引き出しファイルボックス1段」、2段目に「A4書類引き出し収納2段」、「A4書類引き出し収納4段」、「引き出しファイルボックス2列」が置かれ、引き出しの筋と引き出し用の孔だけからなるダイスの様な無表情な見え方がその安定感を増幅させます。同時にこれは見せない収納としてすぐ横にあるデスク上の文具、小物を収納出来ワークスペース全体をミニマルな形に収束させます。
ワークデスク1台だけが置かれている室内に本棚を配置するのは、構成としてはミニマルなデザインですがその際の本棚の形は大変難しい選択になります。機能的に必要な書籍、書類を並べたのであれば越してきたばかりのアパートの一室の様にも見え、逆に壁面一杯を本棚で覆うと空隙ばかりが目立ちます。階段状の本棚はそのワークデスクと並び、まるで茶室を彷彿させるかの様なミニマルで清貧な構成と言えます。【インテリアデザインRの笠原利恵】さんのデザインによるものです。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井やまで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。