客室内で楽しむケータリングと豊かな時間
裏磐梯の滞在型リゾートホテルでは、客室での過ごし方をさらに充実させるために家具の構成を見直されています。従来はソファの前に小さなリビングテーブルが置かれていましたが、今回はソファに腰かけたまま食事が楽しめるよう、より大きなテーブルへと置き換えられました。これにより、ホテルの厨房から客室に届けられる料理を、姿勢を崩すことなくゆったりと味わえるようになっています。

また、この試みの一環として導入されたのは文机をベースとしたテーブルです。座卓としても使われる形式を応用し、奥行を450mmに設定した文机をリビングテーブルとして採用。長さは1800mmと十分で、長手方向に置かれたソファとぴたりと呼応し、腰を下ろしたまま食事に向き合える配置が実現しました。座卓ほど大きな面積を確保できない場合でも、このような工夫によって食事に適したスペースが生まれ、ケータリングの料理を存分に楽しむことが可能となっています。



さらに、この大きなテーブルは光を受け止める広い舞台でもあります。日中は窓からの陽光に照らされ、外の緑が映り込むことで室内に自然が入り込みます。夕暮れ時には陰影がやわらかく浮かび、夜になると照明の光を反射して温かな輝きを放ちます。時間の移ろいとともに変化する表情が、食事の場を一層印象的に彩り、滞在を豊かに演出します。
滞在型のホテルにおいて、食事の場がそのまま寛ぎの延長となることは、体験全体の品格を高めます。光と時間の変化を映し出す大きなテーブルは、単なる家具を超えて、リゾート滞在の記憶を鮮やかに刻む存在となっています。


畳の間に溶け込むローテーブル
リビングの奥、一段高く設けられた畳の間。そこに置かれたローテーブルは、今は座卓として使われています。テーブル自体は変わらなくても、腰掛ける高さや座る姿勢によって「ローテーブル」と呼ばれたり「座卓」と呼ばれたりする――同じ家具でありながら、使い方によって名前も役割も移ろっていきます。






敷かれているのは正方形の縁なし畳。床こそ和の素材ですが、室内全体のデザインは洋の意匠でまとめられています。その和と洋の重なりが、不思議な安定感をもたらし、どこか懐かしくも新鮮な、心地よい落ち着きを漂わせています。
畳に素足を下ろすと、やわらかな弾力とひんやりとした感触が伝わってきます。視線を低くし、テーブルに向かう姿勢になると、自然に気持ちも静まり、会話も柔らかく流れていきます。そこにあるローテーブルは、座卓としての役割を難なく引き受け、食事の場にも、団らんの場にもすっと馴染んでいます。
和の床と洋の家具が呼応し合う空間は、日常の延長でありながら、小さな特別感を宿しています。畳に座る姿勢の心地よさと、家具がもたらす機能性がひとつに重なり、この一角は自然に人を迎え入れる、安らぎに満ちた場所となっています。




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天板を機能的に美しく見せるため他の要素を極力排除したミニマルなデザインのテーブルとデスク。無垢集成材を使用しています。
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