少し建築的な説明
底面によるスタッキング(重箱方式)
fig.-1のようにキューブの底面は段状になっています。これを嵌めようとするキューブの上端に載せるだけで簡単にスタッキングが出来ます。いわゆる「重箱」と同じ考え方です。
更にこのBLCの特徴として、2倍サイズのキューブの上に1倍のキューブを並べてスタッキング出きる点、又はその逆に1倍のキューブを2つ並べてそこに 2倍サイズのキューブをスタッキング出きる点があります。2倍サイズ、4倍サイズのキューブの底面はそれぞれ最小単位である1倍サイズのスタッキング用の溝が切ってあるためスムースに重ねていく事が出来ます。
ビー玉によるスタッキング(免震式)
BLCは「ビー玉を使ってLEGOの様にスタッキング出きるキューブ」です。
LEGOブロックはサイズが変わっても上と下に付いている突起とそれを受ける部分の間隔が一定でかつ左右等間隔に並ぶため、異なるピースもそれに沿って自由に組み合わせることが出来ます。BLCではその上面に付いた突起の替わりに球状の窪みを左右等間隔に設け、そこにビー玉を置き、同じく左右等間隔の窪みを持った相手方のキューブの下面をそこに合わせて置いていくという方法をとります。
まずそれぞれのキューブ(半分サイズは除く)の上面にはビー玉用の球状の窪みが彫り込んであります(fig.-2)。ここに付属のビー玉を載せます。ちょうどそのビー玉の位置に併せてスタッキングしようとするキューブの下面の窪みをあてがいます。するとビー玉を介して目的の位置に積み重ねる事が出来ます。
ビー玉の位置とキューブの関係について
キューブの外周の形は正方形または長方形の形状です。この外周の外に後述する目地芯があります。(fig.-3)この目地芯で構成されるグリッド状のマス目をちょうど二等分する形状の中心にビー玉及びそれを受ける窪みのセンターが来ます。
これにより真上にスタッキングさせることはもちろん、一コマずらして積み重ねる、コーナー部分を設けて矩を出してスタッキングさせる、等様々な組み合わせが可能になります。またビー玉部分は6mmだけ露出します。突出した6mmの上部2mmが上方の窪みにはまるため、残った4mmが前述の目地幅となりユニット構成全体を支配する「目地」を等間隔で実現します。
ビー玉スタッキングに於ける応力の伝搬に関して
1. 鉛直荷重
キューブ内部では荷重は全て下側に来た面に伝搬されそこから鉛直荷重はすべてビー玉を介してキューブからキューブに伝わります。キューブの内部がほぼ収納品で満たされた場合下に来る面に対しては等分布荷重がかけられその等分布荷重に対しモーメントのつりあう地点にビー玉が配置されるので鉛直荷重の伝搬は最も理想的と言える伝わり方をします。
2. 水平荷重
この様な積み重ねたキューブが水平応力を受ける場合というのは次の2通りが考えられます。
まずは地震。地震の場合は水平方向に反復の応力がかかります。ビー玉を使って重ねた場合は接合部がすべてローラーとなるので全体にかかる応力が部分的に集中することはありません。全て個別ユニットに対してかかります。またビー玉は球状であるため最終形は再びくぼみの深い位置(この位置がグリッドの中心です)に向かって収束します。つまり揺れが来ても必ず戻る方向に振幅を繰り返しその振幅を収束していきます。仮に上部のユニットが脱落する場合は下のビー玉が窪みを乗り越えるほどの応力がかからないと窪みからビー玉は出ないので、通常の地震程度の水平応力での脱落はまずは考えにくいと言えます。(fig.-4)
もう一つは人が寄りかかった場合、又は違う大きなものがぶつかった場合。この場合、特に空の状態の積まれたキューブに人が体重をかけて寄りかかると、これは転倒します。これはこの程度の箱ではどう考えても無理であり中にそこそこモノが入って鉛直方向に向いた抑える力がないと簡単にビー玉はくぼみを越えてしまします。しかしこれは当然と言えば当然で空のダンボール箱が積まれたものに寄りかかる、カラーボックスに寄りかかる、といった様な事象を考えて見れば同じことが言えます。
結論的にはビー玉を使ったスタッキングは中にそこそこの重さのものが入っていれば通常の地震程度では問題はありません。どころか逆に安定して作用します。しかし空の状態で積み重ねた場合はそこに寄りかかるような事は出来ません。この点は注意が必要です。
モデュール-1
BLCは厳密なモデュールに支配されています。立方体を基調にしたBLC-01をその最小ユニットとしてそのボリュームを倍数で表現した数字を型番として設定しています。例えばBLC-02はBLC-01の2倍の容積、BLC-04は4倍、BLC-08は8倍といった様に型番の数字がそのユニットのボリュームを表しています。各ユニットはその側面、上面が完全な正方形あるいは長方形でその外周面の2mm外側にモデュールライン(目地芯)があります。これはいわゆる建築で言うタイルの寸法の決め方と同じです。目地芯から目地芯までをタイルの寸法として表記するケースと似ています。(製品本体の寸法は実寸法で表記していますが考え方はあくまでこのモデュールラインに添っています。)
モデュール-2
BLCのもうひとつのモデュールはその全てのユニットの上面と下面に設けられたビー玉を受ける窪みの並び方です。前述の様にこの窪みはLEGOブロックの様に前後左右全て等間隔に並び、更に隣に来るユニットもそのまま連続したモデュールに従って窪みは並び、同時にそうして並べることにより隣のユニットとの空隙に「目地」を持つことが出来ます。
また重箱形式でスタッキングした場合も同様にそのユニット間の表面に出てくる隙間の間隔は同サイズの「目地」として出現します。目地の中心ラインが目地芯であり等倍数で構成されるユニットの並び方のガイドラインになります。
BLC構成ユニット