前田建設工業株式会社 関西支店様のオフィスにおいて、ワンフロアをワークスペースと打合せ、資料、設計室等の小部屋に仕切る間仕切り兼収納として「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」をお使いいただいています。

今回の大規模オフィスのリノベーション、まずは5台の本棚によってフロア全体が大きく間仕切られます。その間仕切りを起点として直交する形で会議室、開発室、資料室等の小部屋が作られていきます。この様に全体に大きなグリッドを被せ、そのグリッドを基本にしながら細部に至る平面計画がされています。そのグリッドの役を担っているのが本棚です。
本棚だけで間仕切る
本件ではワンフロアの一角を本棚だけで仕切りその内部に廊下を作りに社内会議室、資料室等の小部屋を構成しています。全て本棚で間仕切っているため壁面が資料の収納と展示を兼ねます。また前面には「専用カセット」を配置することにより適度な目隠しとしてもご利用いただいています。また本棚同志は上部に繋ぎを設けることで互いに連結されていて平面的な剛性を高めているのもこれまでにない手法です。
本棚のセルを収納に兼ねる
廊下及び室内に面したセルは共有の書籍を入れることにより壁面が収納を兼ねた効率的な使い方になっています。また共有の文具等は「専用カセット」に収納し見せない収納としてご利用いただいています。
オリジナルの予定表、カレンダーを作成
セルのサイズに合わせてオリジナルの掲示板を作られています。ここにはカレンダー、各スタッフのスケジュールを共有するボードを作成し嵌めこまれ見やすい高さに置かれています。


工事を伴わないリノベーション
特筆すべき点は、この考え方を大手ゼネコンである前田建設様が実践されていることです。
一般的に、内装工事や建築工事では、関わる業種が増えるほど専門職種が必要になります。工事の規模にかかわらず、複数の単一技能工が関与することになり、それに伴って工事費用も増加しやすくなります。工事費用を抑えるためには、複数の専門工を必要とする構成ではなく、一人の多能工でも対応できるような工事内容に整理することが有効です。言い換えれば、不要な工事をできるだけ発生させず、そもそも工事そのものを簡略化できる設計とすることが重要になります。少し器用な人であれば一人で対応できるような内容に近づけることで、施工にかかる手間と費用を抑える方向へつながります。
この考え方は、将来的にオフィスを移転する場合や、レイアウト変更を行う場合にも有効です。専門工を必要とする工事が少なければ、移設や模様替えに伴う費用も抑えやすくなります。初期工事だけでなく、将来の運用や変更にも対応しやすい点が、この設計の大きな利点です。

専門工でなくても出来る工事内容にする
工事内容を簡略化するためには、現場での作業をできるだけ少なくすることが重要です。これは、ノックダウン形式のように、「完成した部材を置く」「完成した部材を組み立てる」という考え方につながります。
現場では、材料のカット、接着、ビスによる固定、塗装などの作業を極力行わず、あらかじめ加工された部材を組み立てるだけの内容に近づけます。取り付けが必要な箇所についても、嵌合、ボルト締め、設置によって対応できる構成とすることで、専門工に依存しない施工が可能になります。近年の工事現場、とくに住宅メーカーの施工では、この考え方に近い方法が広く取り入れられています。現場で加工するのではなく、工場で製作された部材を搬入し、現地では組み立てを中心に進める方式です。そのため、現場で発生する廃材も少なくなり、主な廃棄物は梱包材に限られるケースが増えています。このように、現場作業を組み立て中心に整理することで、施工の手間を抑え、工期や費用の削減につなげることができます。



収納を兼ねた通路。間仕切りを本棚が兼用しているので全ての壁は収納を兼ねた形になります。背面板を取り付けることによって使う側が決められます。同時に「専用カセット」によって適度に視界を遮ぎるという効果もあります。

本棚で間仕切られた打ち合わせ室には会議テーブルとして、「Tavola ダイニングテーブル スチール脚(L型)」をお使いいただいています。




ノックダウン方式
一般的にノックダウン方式は、「ユーザーが自ら組み立てる形式の商品」として捉えられることがあります。しかし本来は、主に自動車産業で用いられてきた方式であり、部品のセットを海外へ送り、現地で製品として組み立てて販売する仕組みを指します。この方式には、いくつかの合理的な理由があります。まず、完成品の状態では空隙が多くなりやすく、輸送時の体積が大きくなります。それに対して、部品の状態でまとめて輸送すれば、空間を効率よく使うことができ、輸送コストを抑えやすくなります。
また、現地の労働力を組み立て工程に活用できる点も特徴です。さらに、品質の安定した部品を供給することで、現地で組み立てた場合でも一定水準の製品品質を確保しやすくなります。一方で、関税の扱いや、現地に組み立て工場が必要になることなど、すべてがメリットというわけではありません。それでも、自動車メーカーにおいては、輸送効率、現地生産、品質管理を両立する方法として確立されてきた方式です。

ノックダウン方式の家具
家具におけるノックダウン方式が、自動車産業におけるノックダウン方式と大きく異なる点は、組み立てを行う主体がエンドユーザーであることです。つまり、部品の集合体そのものが商品として提供されるということになります。現地工場で、作業に慣れたプロが業務の一環として組み立てる場合と、初めて製品を見るユーザーが説明書を頼りに組み立てる場合とでは、求められる設計のあり方が大きく異なります。そのため、ノックダウン家具においては、接着剤や複雑なビス固定をできるだけ用いず、初めて扱う人にも組み立て方が理解しやすい、ユーザーフレンドリーな製品であることが重要になります。
本件では、大手ゼネコンである前田建設様が、ノックダウン方式の家具を活用し、工事を最小限に抑えたリノベーションを実践されています。専門工による大掛かりな施工に頼るのではなく、組み立てと設置を中心に空間を構成していく考え方は、これからのオフィスづくりにおいても有効な手法の一つといえます。その取り組みの一部として、マルゲリータの家具を採用いただいたことは、ノックダウン家具の可能性を示す事例でもあります。

ここでは本棚の最上部を同一素材で水平材を渡し更にお互いに直交する本棚を一段の梁型の部材を渡すことによりXY方向の剛性を保ち天井に固定することなくお互いに自立する形をとっています。

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