東北地方のとある音楽喫茶店で「FRAME レコードジャケットフレーム」をお使いいただいてます。
薄暗い店内ですがジャズやロックの名盤のジャケットが木製額縁により飾られていて落ち着いて心休まる雰囲気が醸し出されています。アナログLPレコードと室内の空気が重なります。
音楽喫茶
「音楽喫茶」という形態は、現在ではほとんど見かけなくなりました。かつて音楽喫茶が成立した背景には、当時の音響機器が非常に高価であり、若者が手に入れるのは難しかったという事情があります。仮に購入できたとしても、それを楽しむための十分な環境を整えることは困難でした。こうした状況の中で、音楽喫茶は良質な音響設備を備え、上質な音楽を楽しむための最高の場所として人気を博した時代があったのです。
1980年頃からCDの出現もありミニコンポが出てくるとその状況も徐々に変わってきます。自室に居ながらコンパクトで安価な機器でそれまでは得られなかった音が得られるようになると音に対する価値観も変化していきました。誰でも簡単にそこそこの音楽が得られる状況になりなにも音楽を聴くために音楽喫茶に行くまでもなく自然と見かけなくなったのも当然な気がします。CDの時代も通り越して昨今のダウンロードが主流の時代になるともはやアナログレコードを演奏している喫茶店に行って音楽を聴くという行為はもはや考えもつかないものになります。
今、音楽喫茶は音楽を聴くというよりもその音楽を媒介とした記憶の共有の場と言えます。そこで演奏されている楽曲をその気になればどこでも聴けるという時代にそのレコードの時代の自分自身の記憶、それが他人の記憶と共有される時間、その時間が非常に楽しいものになる。それが近年の音楽喫茶です。
記憶の媒介としての音楽、そしてレコードジャケットというものは手に取った時、また壁に飾った時のサイズ感がちょうどよくまた正方形であることから上下左右に均等に並べるのも絵になる大きさです。
ジャケ買い
そして、レコードの魅力を語る上で外せないのが、ジャケットデザインの存在です。「ジャケ買い」という言葉が存在するほどジャケットに惹かれてそのレコードを買う、という行為まで一部の人には普通だったのは驚きです。ちなみに「ジャケ買い」には、前述したジャケットのデザインそのものを評価して購入するパターンと、ジャケットデザインから音楽性を推測して購入するパターンがあります。
ある意味賭けみたいなものですが、ネットで簡単に楽曲を確認することができる時代においては考えられない行為、しかしその中から自分にとって「当たり」に出会った時はそれが一生ものになるすなわち自分の歴史の断片になると言えます。ジャケットデザインがもたらす効果です。
北国の音楽喫茶に
北国にある音楽喫茶にレコードジャケットを飾っていただきました。LPレコードジャケットを額装できる木製フレームに入っています。レコードジャケットと合わせてヒーターの存在が心も温まる光景です。
この事例と関連するプロダクト
木製額縁。写真や絵を飾るフレームからCDやレコードを飾るジャケットフレームまで。
SERIES05
レコードジャケットを飾る
このシリーズではレコードを面で飾る際の考え方、レイアウトなどを実例をもとに紹介しています