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音楽リリースのパラダイムがレコードからCD、そしてデジタル配信へと移り変わる中で、ジャケットデザインの威力は徐々に薄れつつありました。
しかし、近年のアナログレコードの復権により、再びレコードジャケットの魅力が再評価されつつあります。
ジャケ買いとは、レコードジャケットの芸術性に惹かれて中身を一切確認せずに購入する行為を指します。
昔は、中古レコード店を巡り、ジャケ買いしたレコードを自宅に飾ることが、時代をリードするクールな行為とされていました。
その懐かしいエポックが、今やアナログレコードの復権と共に復活の兆しを見せています。
アナログレコードの復権
CD販売の不振
CDの売り上げは減少の一途を辿っており、楽曲の流通方法もデジタル化の波に乗り、ダウンロード型の「データ販売」へとシフトしています。
この変化により、世界中でCDの販売は急速に減少しています。
さらに、定額制のストリーミングサービスが普及し、日本レコード協会の調査によれば、2018年以降、国内ではストリーミング配信の売り上げがデジタルデータ販売を上回っています。
また、ストリーミングでは曲単位での選択が可能であり、その結果、BGMとしての楽曲が主流となり、アルバム全体の存在感が相対的に薄れています。
この状況において、アーティストはアルバム全体ではなく、単一のシングル曲に焦点を当てざるを得ない状況に追い込まれています。
アーティスト自身がそうした変化を望まなくても、市場の要求に応えざるを得ないのが実情です。
一方で、アナログレコードとしてのアルバムは再評価されており、その特有のサウンドに魅了される音楽ファンが増加しています。
この事実は、異なる見方をすると、音楽をストリーミングで楽しむことで十分だと考える人達と、LPレコードを手に取ってゆっくりと聴きたいと思う人々との間で大きな分かれ道となるかもしれません。
CDはその分かれ道における一時的な段階だったのかもしれません。
かつてCDが登場した時、LPレコードの売り上げが減少し、多くのアーティストが新しいアルバムをCDのみでリリースするようになりました。
この時、LPの販売が終息すると思われました。
しかし、当時の状況と現在のCDの終息が見える兆候とは大きく異なる気がします。
レコードジャケットの魅力
そして、レコードの魅力を探る上で不可欠なのが、そのジャケットの存在です。
レコードのジャケットは、アーティストが音楽を通じて表現しているメッセージを視覚的に伝える役割を果たします。
ジャケットのアートワークは、レコードにとってまさに顔のようなものです。
それは単なるカバーではなく、立派なアート作品と言えます。
「ジャケ買い」という言葉がありますが、これはLPレコードから生まれた言葉で、中身を聴かなくてもそのアルバムが魅力的であるかもしれない、または購買のきっかけになるという意味を持ちます。
これはインターネットの世界では存在しない概念です。
もちろん、ジャケ買いには失敗することもありますが、その失敗の連続がいつか驚きの発見に繋がるかもしれない期待感を生み出します。
ジャケットに惹かれるという経験は、LPレコードのジャケットをデザインする人にとって、計り知れない価値ある勲章となるかもしれません。
ジャケットデザイン
アーティストの独自性によって、ジャケットの印象も大きく異なります。
そのデザインが音楽を聴きたいと思わせるかどうか、これはレコードにとって極めて重要な要素です。
また、レコードジャケットの大きな魅力はそのサイズにもあります。LPレコードからCDに移行する過程で、ジャケットが縮小されたことに多くのファンは大きな失望を感じました。
ジャケットデザインはもともと30cm角のサイズを前提にしており、その小さくなったサイズは現在のサムネイル画像が少し大きくなった程度にしか感じられませんでした。
さらに、CDの場合、その薄いジャケットが収まるプラスチックケースの表面の反射も、その軽薄さを強調しています。
一般的に、ロック系のアルバムジャケットのデザインが他のジャンルに比べて優れているとされています。
その理由は明確で、ロックの歴史は1960年から1990年の僅か30年足らずの期間に集中しています。
この期間には、数多くのバンドやアーティストが現れ、一世を風靡したり、永遠のレジェンドとして名を馳せたりしました。
この短い期間の中で、アーティストたちはコンサートを主体とするパフォーマンスと並行して、レコードをリリースすることに対する情熱を持っていました。
その情熱と若さが、彼らのアルバムジャケットにも表れていたと言えます。
一方で、クラシックやジャズのアルバムジャケットは、ロックと比較して表現が制約されていると感じられることがあります。
これは、クラシックやジャズがある種の枠組みに縛られていると考えられるためです。
そのため、突き抜けた個性を表現することが難しいとされています。
もちろん、これはあくまで一般的な傾向であり、必ずしも全てのケースに当てはまるわけではありません。
しかし、大まかな傾向としてはこのような感じがあると言えます。
アートとしてのジャケットデザイン
LPレコードジャケットは、室内のアートとして優れている点があります。
その理由は、ジャケットの規格サイズが30cm角という例外のない決まったサイズであることです。
現代アートのフレームワークでは、通常そのサイズが決まっていることはありません。
したがって、気に入ったアートポスターを見つけた場合でも、それに合う額縁を探さなければなりません。
しかし、レコードジャケットは新旧を問わず、全てが一定のサイズです。
つまり、気分で入れ替えることが可能なサイズとなっています。
この点が、これまでのフレームワークにはなかった大きな特徴です。
見開きで飾れる
LPレコードジャケットは、一般的にその表面のデザインが広く知られていますが、実際には多くのジャケットが開くと、表と裏が一体となった横一面のアートワークが現れる場合があります。
この側面は多くの人が見逃しているかもしれません。
アーティストの意図としては、表裏が連続する一枚の横一列の画面を意識していることがありますが、一般的なサムネイルでは表面のみが表示されることがほとんどです。
ジャケットを開いた際に初めて見ることができる内側の表現も同様です。
ここには、見えなかった部分が現れてくることで、表とは全く異なるアーティストの本音や意図が表れていると感じることができます。
マルゲリータのジャケットフレームの特徴
無反射ガラス
マルゲリータのLPレコードジャケットフレームはその表面の処理に関して3つのパターンが選択できます。
壁に孔をあけない
マルゲリータのフレーム(FR)は、LPジャケットフレームに限らず、ピンを使ったシステムで壁に固定します。正確に言えば、ピン程度の穴なので外してもほとんど気づかれません。この方法は、石膏ボードに物品を強力に固定するシステムであり、その原理は石こうボード用の超強力画びょう「ハイパーピン」にあります。このシステムは、2本の針が付いており、石こうボードに差し込まれると、それぞれの針が交差して石こうボード内で開き、物品をしっかりと固定します。指で簡単に取り付けたり、外したりできる石こう画鋲や石こう釘のような使い勝手を持ちながら、取り外した跡も極めて小さく、再使用が可能です。そのため、付け替えが自由にできます。
フレーム以外のLPレコードジャケットの展示
Projection MR-02a レコードディスプレイラック
お気に入りのレコードジャケットを収納し、飾ることができる木製のレコードディスプレイラックです。最大5枚のLPレコードを収納できます。壁に立てかけて使用します。レコードプレイヤーの隣に立てかけることで、現在聴いているレコードのジャケットを飾るなど、レコード愛好家の方々にとっておしゃれなライフスタイルを楽しむためのアイテムとして最適です。また、店舗のディスプレイ用の展示什器としてもご利用いただいております。
Piega CL LPS-01,02 LPスタンド
本製品は、演奏中のLPのジャケットをそのまま飾ることができる、いわば”NOW ON PLAYING”的なレコードスタンドです。これは、レコードショップなどの店舗用ディスプレイ什器に最適です。レコードを置くフックは、ゴム製でレコードが滑りにくい素材となっています。
Shelf AR 壁一面の本棚 奥行350mm
奥行350mmのセル内には丁度数ミリの隙間を持ってLPレコードジャケットが入ります。レコードが収納されているセルの前面にジャケットを立て掛けてそのまま飾ることが出来ます。
実例
File407 北国の音楽喫茶に
店内は薄暗く、ジャズやロックの名盤のジャケットが木製の額縁に飾られています。その光景は、心を落ち着かせ、安らぎを感じさせる雰囲気を醸し出しています。アナログLPレコードの存在感と、室内の空気が一体となり、静寂の中に音楽の魅力が漂っています。
File522 ピアノ、アンティークオーディオに寄り添うように
FRAME LPレコードジャケットフレームをご購入いただいたお客様からいただいたお写真です。アップライトピアノやアンティークなオーディオ装置に寄り添うような形でジャケットが飾られている様子が分かります。
考察
ジャケットから音が聴こえる
自分が慣れ親しんだジャケットを壁に飾ると、そこから音楽が鳴り出すかのような感覚が生まれます。聴こえてくるような気がします。これがLPレコードジャケットを飾る際の魅力の一つと言えるでしょう。さらに、自分が慣れ親しんだレコードほど、そのジャケットデザインと共に過去の思い出が蘇ります。
LPレコードとストリーミング
LPレコードからCDへ、そしてCDからダウンロード型の販売へと変化してきた音楽業界において、現代ではLPレコードとストリーミングの対立が広がっています。
この対立には、CDとストリーミングの頃には見られなかった要素が存在します。
それはアナログ音源の独自性とジャケットデザインの魅力に他なりません。
これらの重要な要素が、ストリーミングの便利さとLPレコードの復権を支えています。
一度衰退したものにも、独自の魅力があります。
時代の変化の中で、LPレコードが復権の機会を見出したのは、その独自の魅力がいまだに根強く残っていたからと言えます。