都内のマンションにお住いのお客様です。細長いリビングの片面に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」、反対側にワーク机を置かれコンパクトな書斎を構成されています。本棚と机の間はそのままバルコニーに繋がる風の抜ける気持ちのいい空間になっています。
風の抜ける気持ちのいい空間
本棚と机の間は、真っ直ぐにバルコニーにつながっています。ワーク机の正面の壁面には窓があり2面から光がたっぷりと入るお部屋です。白い天井と壁に白いカーテン、濃色のカーテンレールボックスとサッシの桟がアクセントをつけ、フローリングと室内ドアの木の色と本棚の明るい木の色が色の階調を作っています。本棚の置かれた壁面と並行するフローリングのラインが視覚の補助線効果を発揮し本棚の棚板によるグリッド線が壁にかかって、水平と垂直のリズムが組み合わさった、風の抜ける気持ちのいい空間になっています。
背板による水平方向の剛性
この壁の幅に合わせるために両端のセルの幅を調整してあります。また天井の高さに合わせて一番上の段をカットしてあります。向かって左端の最上段は、窓の上の梁、通気口、カーテンレールのスペースに合わせてカットしてあります。本件では、マルゲリータの特徴になっている４つのブレース材を使わずに左右の列の背面に背板を入れ水平方向の剛性を高める方法をとっています。
背表紙による面の構成
本棚の背表紙に見える文字からは楽譜が数多くあることがわかります。楽譜はサイズにバラエティがあり、無造作に並べてしまうと背面が揃わず大きな本の間に小さな本が隠れてしまったりタイトルが読みづらくなったりして、見た目が乱雑になってしまうだけでなく使いづらい状態になってしまいます。
この本棚ではただ無造作に並べるだけではバラバラな印象になりがちな楽譜を高さで揃えています。そして、セルごとに背表紙の面を揃えて並べて収納しています。さらに背表紙の色が濃いものをさりげなく中央に集めて視界に重心ができるように工夫しています。特に、下から２段目の揃え方は厚さや高さがまちまちな本を綺麗に見せる模範的な収納です。
本棚の一番下の段はフローリングの床に直接置くことができるため、少し重いファイルなどの収納場所として最適です。床を滑らせて出し入れも出来ます。
一番下の段の左端の２つのセルにはデザインの揃ったファイルが並べられています。カラフルな色彩のファイルですが色のトーンが揃っているために賑やかになりすぎず落ち着いた雰囲気が保たれています。左から２つ目のセルではファイルボックスを利用して複数のファイルをまとめて出し入れできるように工夫されています。
「壁一面の本棚」の使用事例にはその圧倒的な収納力とオーナーにとっての大切なモノへの想いとのせめぎ合いが密度高く現れるケースが数多くありますが、本件は、本棚のセルの中の余白が個性となって本棚全体の雰囲気に軽さと抜け感が醸し出されている事例です。特に上から３段目と４段目、ちょうど大人が立った時の目の高さに当たるセルには収めた本の大きさによる比較的大きな空白部分ができています。
収納された本とオーナメントなどとのバランスが秀逸です。黒いヘッドフォン、赤い歯茎が印象的な口蓋の模型と、咽頭部の甲状軟骨の模型は、本棚の中で独特の存在感を放っています。これらの置き場所は本棚の中で常に定位置を占めているので必要な時に出し入れする際の動きが定まり作業効率が高まります。
下から4段目にはオーナメントが集中して置かれています。木製の卵型のオーナメント、中央に置かれた黒いキューブ型の「二眼レフ型手動鉛筆削り」などお客様の美意識がうかがわれるオブジェクトです。小さな白い鉢に植えられた多肉植物は縦横のクッキリしたラインで形成された本棚に柔らかい生命感を伝えるアクセントになっています。
廊下に置かれているCDラックはお客様手作りの逸品です。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井やまで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。