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ダークブラウンに塗装したDJブース Shelf ロータイプ本棚

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千葉県の戸建て住宅にお住いのお客様です。そのリビングルームの一角にアナログレコードを中心としたDJブースを製作、既存の本棚と色調を合わせてL字型に配置してお使いいただいています。

リビングルームの一角にあるDJブース - Shelf ロータイプ本棚 - マルゲリータお客様事例

アナログプレーヤーを水平に並べる

淡い色調の無垢材フローリングが続く一角に設置されたこのDJブースは、「Shelf ロータイプ本棚」をベースにした、ほぼ完全なオーダーメイド製品です。アナログプレーヤーを横に2台、その中央にミキサー、両端にスピーカーを配置するレイアウトに合わせて天板のサイズが決定され、その天板に合わせて下段のセルのサイズも調整されました。このため、ベースとなった本棚の寸法はほとんど残っておらず、元の形状が分からないほどのカスタマイズが施されています。具体的には、正面のコマ割りはもちろん、奥行もアナログプレーヤーに合わせて500mmに伸長され、オリジナルのブースが作り上げられました。さらに、表面素材であるシナ合板にはオイルステインを2度塗りし、ウレタンで仕上げられています。その結果、規格上のマルゲリータの本棚はほとんど姿を消していますが、不思議なことにそのDNAは確かに感じられます。それはグリッドによる構成と、その木口の線の細さに由来しているのではないかと思われます。

その出来上がったDJブースはそのオーディオ機器の黒の艶消しのテクスチャー及び背表紙を見せないアナログレコードの並びと相まって落ち着いた雰囲気になっています。

このお客様のLPレコード収納の仕方は一般的な方法とは一線を画しています。ジャケットの背表紙を奥に向け、手前には開放面を向けて収納するスタイルです。この配置は、ジャケットの背表紙を紫外線による劣化から守るだけでなく、それぞれのレコードの位置を正確に把握しているという、持ち主の几帳面な性格を反映しています。

DJワークのスキルの一つに、どのレコードがどこにあるかを瞬時に把握する能力が求められます。これは、レコードの位置をデータベースのように活用し、瞬時に選び出す左脳的な作業です。そのため、背表紙を眺めながら選ぶよりも、直感的にレコードをピックアップすることが重要です。このお客様の収納方法は、そのような即時性と効率性を追求した結果と言えます。

リビングルームの一角にあるDJブース - Shelf ロータイプ本棚 - マルゲリータお客様事例
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音楽の途切れない空間

CDの音源に慣れてしまった世代にとって1枚のCDの60分近い演奏時間は短くもなく、長くもない時間です。更にそれがスマホを通して継続的に流れてくるに至っては、音楽はもはやそれに向かって聴くというよりもBGM的なものに成り下がってしまっています。

しかし音そのものに魅せられた人たちにとってはやはり聴き流すというよりはそれに正面から向かいたいところ。ところがきちんとした音源でその音楽に接する場合の一番の問題点は、その再生機の関係で特にそれがアナログレコードの場合だと約20分ほどで音楽が途切れてしまい次の音に行くまで一定の空白が生じてしまう点です。アナログレコードはその面の演奏が終わる度にターンテーブルの前に立って針をリフトアップして回転を止め盤面を裏返す、場合によっては次のレコードをそのすぐ脇に用意して演奏の終わったものはジャケットの内袋に戻しジャケットにしまう、そして次にかけるの盤面をターンテーブルに載せ再び回転させ針を落とす、という行為を繰り返して行います。その間音楽は途切れます。手際よく処理しても3分はかかります。

リビングルームの一角にあるDJブース - Shelf ロータイプ本棚 - マルゲリータお客様事例

音楽を正面から聴きたい方に限らず、アナログレコードを楽しむ際、特に人に聴かせる場合、この「空白の時間」は最も避けたいものです。このため、2台のアナログターンテーブルを用意し、前後の音が途切れないように、中間に配置されたミキサーで片方をフェードアウトさせながら次をフェードインするという手法が用いられます。このややもすると面倒な仕草が、実は楽しみの一つでもあるのです。

リビングルームの一角にあるDJブース - Shelf ロータイプ本棚 - マルゲリータお客様事例

電子音ではないアナログの原音に近い音を心地よく再生するために、この装置は熱や動力、そして人が動く労力を費やします。現代の視点から見ると無駄とも言えるこれらの要素があるからこそ、得られる音場空間の豊かさがあるのです。アナログターンテーブルでの再生は、デジタル機器にはない温かみと臨場感を提供し、その機械と人が織りなす手動のプロセスが、一層の味わいを生み出します。

このように、2台のターンテーブルとミキサーを用いた再生方法は、アナログレコードの魅力を最大限に引き出すための工夫の一つです。人の手によるフェードイン、フェードアウトの操作は、音楽を聴くという行為そのものを豊かにし、聴く人と演奏する人の間に特別な時間を作り出します。アナログ特有の温かみと、無駄とも言える過程を経てこそ得られる音楽体験は、現代のデジタル音源にはない魅力を持っています。

リビングルームの一角にあるDJブース - Shelf ロータイプ本棚 - マルゲリータお客様事例
リビングルームの一角にあるDJブース - Shelf ロータイプ本棚 - マルゲリータお客様事例

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