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設計事務所のワークスペースにカウンター付き本棚 / Shelf

2019/11/1

以前ご紹介した都内の建築設計事務所のワークスペースに、新たに「Shelf カウンター付き本棚」を4台導入いただきました。
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フロアの色を変えることで形成されている中央の「道」の左側にオフィスの空間が広がっていますが、そのオフィスをさらに長手方向に区切るパーティションとして、「Shelf カウンター付き本棚」縦7コマ×横7コマが4台導入されました。

縦横の棚板を嵌合させて組み立てられたカウンター付き本棚は、その四隅のセルに配置されたブレース材によって水平方向への剛性が確保されているために背板をつける必要がない構造です。棚板とコンテンツの間を抜けた視線は本棚の背後まで届くため、この事例のようにパーティションとして設置する場合には部屋の反対側のゾーンが少し見えることでそこでの動きを感知することができる緩やかな境界を形作ることになります。

カウンターの下は光が届きにくく陰ができる空間で、コンテンツの出し入れをする際には身を屈める必要もあるために、停滞する性質を持つゾーンになっています。本件ではここに通常では動かす必要のない備蓄用の物資が目一杯置かれているので視線が遮られ、カウンター下の空間は埋められています。このゾーンの視覚的な印象の重心が下がり、結果として腰板が壁面を安定させるように落ち着かせる働きをしているために、パーティションに安定感が生まれています。実際に、カウンター付き本棚は床と接する部分が大きいので、基本形である壁一面の本棚に比べて自立安定性が高い構造です。

左から2台目の背後には大きな柱が見えています。本棚はこの柱を避けて設置された結果、雁行してレイアウトされることになり、本棚の前に広がるワークスペースのゾーニングにもさりげなく反映しています。手前に並ぶ２台の本棚の前にはミーティングの場所となる大きな会議テーブルが置かれています。右側に並ぶ2台の前にはスタッフが5人ずつ向き合って座れるような形でワークデスクが配置されています。

前に伸びたカウンターによって大きく上下に区切られた本棚は、下2段の視界は遮られ、カウンターの上の5段の本棚が視線と手の届きやすい位置を占めています。

本件では上部の2段に光を通すことでオフィスの天井付近の空間の広がりを演出し、その下の3段を本棚として活用していますが、この部分だけでも書籍のための膨大な容量の壁面収納スペースが形成されています。右側の2台には大型の写真集や図録など参考図書のコレクションが収められています。左側の2台には本棚の前面に背表紙を揃えて専門誌のバックナンバーなどが隙間なく充填されています。マガジンの背表紙は、その高さと厚みが揃いタイトルの文字の配列なども揃っているために集積して配置された様子は３本の帯が水平に並んでいるようにも見えてまさに圧巻です。帯の表面には細い縦縞のストライプが薄く現れて、それが縦板によって等間隔に区切られて軽やかな律動感が生まれています。

専門誌のバックナンバーは、掲載された過去の事例を取り出して見直すというニーズはもとより、パラパラと眺めるだけでも記事や写真や広告から当時の状況を重層的にレビューすることができるために、その時代の背景にあった時流を想起することのできる一種のタイムマシンのような機能も備えています。ミーティングテーブルの背景にはタイムマシンのようなバックナンバーが膨大な量で収納された本棚が並べられているという状態です。時間をかけて積み上げられてきた成果やアイデアの集積を無意識のうちに認識しつつ未来へ向かうより新しい発想を展開する創造を育む場として、まさに相応しい環境を作り上げています。

本棚の縦横の棚板はそれぞれに切れ込みを入れて嵌合させて組み立てられて固定されているので、壁面の最前面には常に棚板の見付が描くグリッドラインが現れています。グリッドラインは、本棚の背面のスペースからの光を含んで、あたかも障子の桟のような柔らかい境界を形作っています。この大きな本棚が形成するパーティションは、また、無塗装の木材の質感によって有機物に特有の柔らかい雰囲気を持っているために、広々としたオフィスにいくつも配置されて彩りを添えている観葉植物との相性もよく、適度にリラックスした環境を演出しています。