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住宅展示場で壁一面の本棚奥行250mm / Shelf

2017/6/2

千葉県船橋市のマンションのモデルルームに「Shelf壁一面の本棚奥行250mm」を設置いただきました。

床から天井までをいっぱいに使って、大きな壁面に縦7コマ×横7コマの本棚が立ち上がっています。マルゲリータの本棚は縦横の棚板を嵌合して構成されていて、背板がありませんが、四隅に配されたブレース材によって平面的な剛性が確保されています。棚の背面には巾木の厚みをかわすカットが施されていますので、本棚は背後の壁に沿って設置されています。

机の左側の壁面を覆っているのは縦7コマ×横5コマの本棚です。向かって左側の天井部分に梁が張り出しているので最上段の棚板をカットしてスペースに収まるように加工してあります。直行して置かれているダークブラウンの本棚が左端の列に被っていますが、ファイルボックス1つ分の隙間があるために、この奥のスペースがポケット状になっていて秘匿性の高いストックスペースとして活用可能です。デスクの天板と下から3段目の棚板とは、50mm程の段差になっています。実際にここでデスクワークを行う際には、下段が椅子に座ったまま手が届くスペースとして、使い勝手の良いスペースになります。

棚板を短いスパンで組み合わせたマルゲリータの本棚は、棚板を透かして背面の壁が見えるのが特徴です。収納するモノが少なく透けて見える部分が多い状態では、壁面に空気感や抜け感が生まれます。蔵書が集積されると今度は大切なもので満たされた豊かな空間が出来上がります。

もしこの壁に本棚が置かれていなければ、そこにはただマンションの平坦な壁が広がることになります。棚板が壁の上に作り出す陰影の柔らかいニュアンス、ぎっしりと充填された蔵書や大切なコレクションがもたらす深い満足感、敢えて作られた何も置かないスペースが生み出す心のゆとりなどを、本件のような住宅展示場の事例から具体的なイメージとして膨らませていくプロセスも、将来の住まいのプランを考える格別な楽しみです。

本棚によって天井から床まで垂直に積み重ねたスペースが圧倒的な収納力を創り上げ、大容量の壁面収納を構築しています。蔵書などを隙間なくと並べると背後の壁が隠れて密度の高い複雑な色面ができますが、その色面の上に棚板の見付の細いラインがグリッド状のハイライトとして現れます。四隅のブレース材は視線を集中させる補助線のような効果を発揮します。

本件では住宅展示場のモデルケースとして蔵書も装飾的に扱われていますので、背表紙のデザインがパターンとして繰り返され下の段に並べられた様々な本は色のトーンがさりげなく揃えられていますが、実際の書斎では本の背表紙はそれぞれ強い色彩を持っていることが多いものです。そんなおびただしい色が集合した雑多な色面であっても、その上に棚板のグリッド線が重なると障子のような安定した景観が生まれてきます。

本件では上方の段で大量のファイルボックスを用いて単色で埋める手法を使い、ミニマルな景観を作り出しています。奥行き250mmの本棚はA4書類用のファイルボックスが収まるサイズです。書斎やリビングの周辺に大きさや色がマチマチなモノがたくさんあったとしても、本棚に並べたファイルボックスに収めてしまえば整った空間を簡単に作り出せます。

棚板で囲まれたそれぞれのセルをスクエアな一つ一つの独立したスペースとして捉えると、本棚をおしゃれなディスプレイスペースとして活用するためのヒントが得られます。

本件では本棚のセルの中にフェイクの観葉植物を配置しています。間接的な光でも生育可能な種類の観葉植物もありますが、フェイクの観葉植物なら水やりの心配もなく、表面に積もる埃をはらうだけで植物の気配を室内に簡単に取り入れることができます。マルゲリータの棚板の木材の色と観葉植物とは、特に色彩の相性が良く、雰囲気にしっくり馴染みます。採光の条件が合う場合ならば、本棚の高さを活用して、垂れ下がる下垂タイプの植物を配して揺らぎを演出するのもおすすめです。

ブレース材が置かれたセルは内部の空間が斜めに仕切られているので、そこに置かれるオブジェクトはその個性的な形状が際立ちます。