沖縄本島よりさらに南に位置する石垣島は、年間を通して温暖な海洋性気候に恵まれています。冬でも穏やかな気温が保たれ、夏は海からの風が島全体をゆるやかに巡ります。強い日差しと澄んだ空、そして時折訪れるスコールのような雨が、島の自然に独特のリズムを与えています。
この民泊は、そうした石垣島の気候風土を背景に、滞在そのものを楽しむための住まいとして計画されています。敷地の中心にはプールが設けられ、強い陽光を受けた水面が周囲の空間にやわらかな光を反射します。夕方には海からの風が通り抜け、空の色がゆっくりと変化する時間帯には、プールサイドにいるだけで島の時間の流れを静かに感じることができます。
石垣島では、観光するだけでなく「暮らすように滞在する」ことも旅の魅力のひとつです。朝は鳥の声とともに始まり、日中は海や自然に触れ、午後には強い日差しを避けて室内やテラスでゆっくり過ごす。夕方になると風がやわらぎ、夜には満天の星が広がります。こうした島の生活リズムに身を委ねることで、短い旅行とは異なる時間の豊かさが生まれます。

今回、石垣島にあるプール付き長期滞在型民泊施設「ヴェルミン石垣島」にて、屋外用家具「EXA アウトドアファニチャー」 の撮影を行いました。時折訪れるスコールの合間に現れる澄んだ青空の下、プールサイドを背景に撮影を行い、また当地特有の奥行きのあるテラス空間でも撮影をさせていただきました。深い軒とテラスは、強い日差しと突然の雨を受け止めながら、屋外と室内の中間領域として機能しています。
このリゾート民泊は、ホテルのような短期滞在の施設というよりも、石垣島の自然と気候に身を委ねながら時間を重ねるための拠点としてつくられています。プールを囲む空間は、強い日差しと海風、そしてゆったりと流れる島時間を受け止める場所となっています。
プールサイドに置く
海を見渡すテラスから一段下がった場所にプールがあります。プールは芝生に囲まれており、テラスから見下ろすと水平線へと続く海を背景に青い水面が広がります。デッキからの眺望もそのまま水平線へと視線が導かれ、穏やかな時間が流れます。このデッキと芝生で囲まれたプールサイドに、「EXA シェーズロング」「EXA クレイトチェア」「EXA デッキチェア」「EXA ガーデンベンチ」を配置しました。緑の芝生と青いプールの水面に対して、木質のガーデンファニチャーが自然に調和しながら、落ち着いた存在感を与えています。

またプールから少し上がった場所に水平に広がる海を見渡すように、建物とプールの間には広いデッキテラスが設けられています。プールから上がった後に身体を休める場所として、また海を眺めながらゆったりと時間を過ごすための場として機能しています。
雨上がりの天候の中、デッキにはまだ水たまりが残っていましたが、細いリブ材が連続する「EXA アウトドアファニチャー」の屋外家具は水はけがよく、濡れたデッキの表情とも自然に呼応します。屋外環境に適した構造が、こうした場面でも快適な使い心地を生み出しています。

シェーズロング EXA-CHAISE-LONGUE
プールサイドには「EXA シェーズロング」を配置しました。
背もたれに対して座面が大きく前方に伸び、脚から全身までを預けてくつろぐことができるシェーズ・ロングは、もともと室内家具として発展してきた長椅子の一形態です。ル・コルビュジエの LC4 に代表されるように、身体を横たえるための家具として長い歴史を持っています。




「EXA シェーズロング」は、その低く伸びる長椅子の構成をモチーフに、耐候性に優れたアコヤ材を用いて屋外家具として再構成したものです。細いリブ材が連続する座面は、水はけと通風性を兼ね備え、強い日差しやスコールの多い南の島の気候にも適応します。石垣島のプールサイドでは、芝生の緑と水面の青、そして建物の落ち着いた壁面を背景に、この木質のシェーズ・ロングが静かに置かれています。低く伸びるシルエットは視界を遮らず、水平線へと続く景色の中に自然に溶け込みます。
日中は強い日差しの下で水面の反射を受け、夕方には柔らかな光の中で海からの風を受けながら身体を預ける場所となります。プールで泳いだあとに身体を休める場として、また海を眺めながらゆったりとした時間を過ごすための居場所として、「EXA シェーズロング」はこのリゾートの風景の中に静かに溶け込んでいます。




室内家具として発展してきた長椅子のかたちを、屋外空間の中で再解釈する。「EXA シェーズロング」は、自然環境と建築、そして人の身体の関係を穏やかに結び直すための屋外家具です。
クレイトチェア EXA-SDC
クレイトチェアは第一次世界大戦期の資材不足の中で、木箱用の板材を利用して制作されたといわれています。限られた材料を合理的に組み合わせるという発想は、後のデ・ステイルの思想とも重なり、部材の関係性そのものを構造として表す設計となっています。平板を直交させて構成するこの椅子は、座るための家具であると同時に、構造の論理をそのまま可視化した立体ともいえます。ただし実際に腰を掛けてみると、座面がやや長く、身体との関係は決して快適とは言い難い部分もあります。その点から見ても、この椅子は完成されたプロダクトというより、後に生まれる「レッドアンドブルーチェア」へと至る過程における試行的な作品だったのではないかと考えることもできます。構造の整理やプロポーションの探求が、この段階ですでに始まっていたことが感じられます。



「EXA クレイトチェア」は、そうしたクレイトチェアの構造的な思想を手掛かりにしながら、屋外空間の中で使われる家具として再構成されたものです。耐候性に優れたアコヤ材を用い、木材の構造そのものが形をつくるという考え方を、現代の屋外環境に適応する形で展開しています。
プールサイドに置かれた「EXA クレイトチェア」は、芝生や水面、建物の外壁といった周囲の要素と静かに呼応します。直線的で簡潔な構成は景観の中で主張しすぎることなく、光や影、風の流れを受け止める存在となります。強い日差しの下では木肌の陰影が際立ち、夕方にはやわらかな光の中で空間に溶け込んでいきます。






デッキチェア EXA-SDR
リートフェルトの名作「レッドアンドブルーチェア」へのオマージュとして設計された「EXA デッキチェア」です。特徴的な水平・垂直の構成関係を踏まえながら、座面と背凭れを連続するリブによって置き換え、屋外空間の中で使われる家具として再構成しています。このチェアを構成するリブ材は、ステンレスの線材を通して緊張を与えることで一体の面として成立しています。細い線状の部材が連続することで視覚的には軽やかな構成となりながら、張力によってしっかりとした座面と背凭れを形成しています。線の集合によって面を生み出す構造が、この家具の大きな特徴となっています。 両端に配された肘掛け部分は、在来の木工技法によって組み上げられています。この肘掛け構造を基点として線材に張力を与えることで、全体をポストテンションの考え方によって成立させています。木材のフレームが骨格となり、その間に張られた線材が面として機能する構造です。












プールサイドに置かれたこの「EXA デッキチェア」は、水面の反射や強い日差しの中でも軽やかな影を落とします。リブの隙間を風が通り抜けるため、水辺の環境でも快適に身体を預けることができます。芝生やタイル、建物の外壁といった周囲の要素と呼応しながら、静かに景観の一部となる存在です。構造の論理をそのまま形にするというリートフェルトの思想を手掛かりに、屋外家具として再解釈されたプロダクトです。線の集合が面をつくり、張力によって成立する構造が、建築と自然の間に軽やかな居場所を生み出しています。







ガーデンベンチ EXA-GB
「EXA ガーデンベンチ」は屋外用のベンチ(長椅子)です。パーティーや集いの場において、人数にとらわれることなく、一人でも複数人でも気軽に腰掛けられるよう設計されています。テーブルを囲む場面ではもちろん、庭先やプールサイド、テラスなどに単体で置くことで、屋外空間の中に自然な居場所をつくり出します。


素材には耐候性に優れたアコヤ材を使用しています。屋外環境においても安定した性能を保つこの木材は、時間とともに風合いを深めながら、屋外空間の景色にゆるやかに馴染んでいきます。細いリブ材が連続する座面は、見た目の軽やかさと同時に通気性や水はけの良さも兼ね備えており、日差しや雨の多い環境でも快適に使用できる構造となっています。また、同シリーズのデッキテーブルと構成を揃えているため、セットとして配置することで統一感のある屋外空間をつくることができます。長いベンチは、複数人が並んで座ることができるだけでなく、気軽に腰掛ける場所としても機能し、人の集まり方に応じて柔軟に使うことができます。




庭やテラス、プールサイドなど、自然と建築のあいだに置かれるこのベンチは、屋外空間の中に静かな居場所をつくり出す家具です。人が集まるときも、ひとりで過ごすときも、環境の中に自然に溶け込みながら、ゆったりとした時間を支える存在となります。


この事例と関連するプロダクト
屋外用の家具。ガーデンテーブル、チェア、デッキチェアなどのガーデンファニチャー。
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