
腐らない木材「アコヤ」を用いた屋外チェア
~Homage to Rietveld~
ヘリット・トーマス・リートフェルト(Gerrit Thomas Rietveld)の名作「赤と青の椅子」を現代の素材と工法により屋外でも使える形に昇華させようと試みた計画です。


「赤と青の椅子」を屋外で使用する。仮にそのような命題があるとした場合問題となってくるのは
- 木材としての耐久性
- 広い面材の水捌け
の2点です。前者はアセチル化木材を使用することで基本的に解決が可能ですが、後者はそもそもの面そのものに有孔加工を施すあるいは線状の材料を格子状に組んで水が捌ける形にすることが必須となります。ここでは連続するルーバーと同素材で出来たリングを交互に並べ、数珠に紐を通すようにタイボルトを貫通させ両端の受け金物を回転させることによりテンションをかけ、連続する線を面に昇華させる方法を試みました。
理論的にはこの状態で前述の格子状ルーバーが出来ることになります。一方で線状の材料に緊張力を導入するにあたって新たな問題が浮上してきます。特にこれはあくまでも木材であることから重要な課題となります。
- それぞれのルーバーが変形しないこと
- ポストテンションによる緊張力が所定の値に達しても材が変形しない圧縮強度を保有すること
の2点。アセチル化された木材(ここではラジアータパインを使用)の大きな特徴としてこの材料の変形量の少なさと均一な圧縮強度があります。これにより連続した状態で緊張力が導入されても所定の形状を保つことが可能になってきます。このようにして導かれた面および従来の構成である桁材を最小限に組み合わせることにより名作の再構築を試みました。
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写真の様に角材はドーナツ型のピースを介して連続します。その中心部に丸棒を通し両端で緊張させます。それによって空隙のある連続した面となります。
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背後より見下ろした様子。座面の角材は貫通する丸棒に緊張力を導入することによりこの様にフラットな面を構成出来ます。また経年で撓んだ場合も一度緊張を緩めてドーナツ状のリングを回転させることにより新たな面として再生することが出来ます。
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座面の木口の様子。このように端部は持ち出した状態で整列します。
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角材とドーナツ型のピースが隣り合う様子。
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連続する角材とフレームを固定するところの様子。フレーム同士は家具用固定金物、フレームと座面、背もたれは丸棒を受ける緊張端になります。
環境にも人体にも優しい新木材アセチル化木材「アコヤ」について
アセチル化とは、食酢の成分でもある酢酸の一種「無水酢酸」を高温で木材と反応させ、木材組織の水酸基をアセチル基に置き換えるという化学修飾法のひとつです。
「アコヤ」は、このアセチル化により腐朽菌に対して高い耐久性能を持ち、寸法安定性が高く、塗装の寿命をも伸ばすことに成功した木材です。防腐薬剤や重金属は使用しないので環境にも人体にも優しい木材といえます。
※1 地上で50年間、地中および淡水中で25年間の耐腐朽菌性能を、ヨーロッパではメーカー保証されています。また、イギリス建築研究財団BREは、アコヤを使用したバルコニー外装は、適切な塗装およびメンテナンスをすることで、60年間のサービスライフが得られるものと評価しています。
※2 アコヤには殺虫成分は含まれませんが、アコヤの木材細胞内に食物消化に必要な水分が十分に存在しないため、白蟻はアコヤを栄養源とすることが出来なく、アコヤは高い防蟻性能を備えた木材と言えます。
※3 アセチル化は、木材の寸法安定性を最も向上させることができる方法として知られています。アコヤは、疎水性が高く、含水変化率が非常に小さく、材の収縮が限られています。(アコヤの繊維飽和点は7~8%。)

「ゆりかごからゆりかごへ認証」ゴールド認定取得
ゆりかごからゆりかごへ認証:Cradle to CradleSMは、製品の安全性はもとより、材料・水・エネルギー資源を無駄なく効率良く使用し、生産、使用、使用後に、ゴミが生み出されない、自然の循環にそった持続的で再生可能な循環生産社会の実現を目指す新しい国際エコ認証システムです。
アセチル化木材「アコヤ」は、ゆりかごからゆりかごへ認証ゴールド認定を取得しています。 Cradle to CradleSMは、MBDC社の登録商標です。
プロダクト仕様
品名 | デッキチェア / EXA |
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品番 | EXA-SDR |
素材 | アセチル化木材アコヤ(ラジアータパイン) |
仕上げ | ウレタン塗装(屋外用) |
サイズ | W530×D830×H880mm |
製造 | 日本製 |
備考 | 完成品でのお届けです |
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