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大きなリビングの壁一面に広がる本棚 壁一面の本棚 奥行350mm / Shelf

都内のマンションにお住いのお客様です。そのお住いのリビングに「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を導入いただきました。

この広いL字型のリビングは、その一面が前面開口となりそのまま外部テラスへと繋がります。開口部に直行する壁に沿って床から天井までを覆い尽くすように「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」縦7コマ×7コマの本棚を2台、連結して配置していただきました。右端、窓側の梁をかわすために2枚の縦板の高さを調整され、造り付けの家具のように納まり大容量の壁面収納を実現されています。

左隣に置かれたワインセラーの存在は居心地のよい気配を漂わせ、細い棚板の描くグリッドラインは大きな開口部から入る陽光を受けてハイライトとなり、白い天井と壁面、建具に対して中間色のフローリングが軽快なコントラストを作り、それぞれがバランスの取れた部位になっています。本棚に立て掛けられている鉄腕アトムのモノクロのアートワークはフレームのラインの強さから、大きな壁面と室内空間とをつなぐハイセンスなアクセントになっています。

本棚には大量の蔵書が並べられています。その蔵書と棚板との隙間に光が入り込み、本棚の背後の壁まで間接光が届いています。本棚の形状は障子の桟を連想させて、光を含むイメージが想起され、大容量の壁面収納が設置された壁には明るく軽やかな印象が生み出されています。シンプルなグリッドラインで覆われることによって視界が静かに整えられた広々としたリビングには、居心地の良い明るい雰囲気が満ちています。室内はその全体が広いので、本棚の前には十分なスペースが確保され、本棚とソファーとの間に立って蔵書を一目で探すことができる、使い易い空間になっています。

マルゲリータの本棚は厚さ15mmの縦板と横板に切れ込みを入れて嵌合させて組み立てられています。それぞれの横板は両脇の縦材と最低限のボルトで固定されています。本棚の四隅にブレース材を配置することで平面方向への剛性が確保されているので背板をつける必要がなく、棚板の奥行き全てを収納のために使えます。棚板とコンテンツを透かして本棚の背後の壁が見える構造になっています。

格子状に組み合わさった縦板と横板とは物理的に強固に嚙み合います。全荷重を受ける縦材を均等に配置して横材のスパンが短く設定されているため重いコンテンツが収納されても棚板にはほとんど「撓み」は生じません。奥行き350mmのタイプの本棚の1コマあたりの耐荷重は約30kgです。また本件の場合、縦板の上端と天井との間には隙間がほぼ無い状態なので、前のめりの方向へ倒れる力が働いたとしても、棚板が梁にかかって転倒を防止します。

大量の蔵書には、持ち主その人の個性的な思考を映し出すような独特の存在感があり、同時に書籍そのものに内包される膨大な情報量が滲み出てくるような気配にも満ちています。一般的に、蔵書が壁一面に並ぶ様子には、寡黙さと饒舌さとが複雑に入り混じった重厚な迫力が感じられるものですが、本件ではこれほどの大きな壁面を大量の蔵書が覆っていながらも、全体には軽やかな印象が保たれています。

書籍はその多くが定型サイズなので、この棚の上に並べると、底面が等間隔に揃った細長い直方体が帯状に連なって水平に並んでいるような形状になり、それぞれの帯の表面は細い縞模様の色面を形成します。そして、壁の前に水平に積み重なって並ぶ「縞模様の帯状の直方体」は、短い間隔で並ぶ縦板によって等間隔に細かく区切られ、安定します。

窓にかかるプリーツスクリーンの描く水平のラインと、窓と壁との境目に置かれたフランク・ロイド・ライトの名品「タリアセン2」の美しい形状と、マルゲリータの本棚呼応しています。
本件では、上段と本の天井との間にできる空間が、ほとんどのセル内に確保されているので、背後の壁まで光が届いています。このために心地よい抜け感のある光景が織りあげられて、軽快な視界を作ります。棚板の見付が描く細いグリッドラインは常に視界の最前面に現れて、グリッドユニフォームド効果を発揮して光景を沈静化しながら壁全体を覆います。壁面には、大量の蔵書が持つ不定形の強いエネルギーを静止画にしたかのような、安定した、そして明るく軽やかな広がりを感じさせます。


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Shelfシリーズ / 壁面を天井やまで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。

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