都内の閑静な住宅街の戸建て住宅にお住いのお客様です。
綺麗な新築の個室に「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm ロータイプ」を設置いただきました。
寝室の腰窓の下に縦2コマ×横7コマのロータイプの収納棚が置かれています。本棚を窓のある壁面の下の部分に配置したことにより、視界の重心が低くなり、眠りにつくコンディションが整っています。また、白い壁面に対して収納棚は腰壁のような効果があり、寝室にロータイプの本棚が適していると言われるのは、室内の演出効果だけではなく、万一大きな地震があった際に、寝ている姿勢の上に書籍等が落ちてくる可能性を排除すると言う理由もあります。ここでは思わぬ被害に遭うことは無い、と思える状況は、無意識のうちにも安心感をもたらし、心地よい眠りにつながるだろうと想像できます。
この部屋のファブリックはそれぞれ彩度が抑えられ、全体に淡い色調の落ち着いた雰囲気になっています。ベッドの反対側に広がる大きな窓から陽光が入ってくる部屋の床にはモノトーンのラグが敷き詰められ、落ち着いた色彩の心地よさと足の裏の触感の心地よさだけでなく、ボタニカル柄のモチーフがパネル状に展開するラグは本棚の14コマのセルが並ぶ壁面と呼応して、直線のグリッドが醸し出す安定した雰囲気を作り出しています。
本棚の天板は、腰窓の下のカウンターとして活用されています。陶器の一輪挿しや写真立て、人形やリースなどお客様の大切なモノが飾られています。また、この収納棚の高さがほぼベッドのヘッドボードと同じくらいの高さのため、見た目にもまたベッドに横になった時も気持ち安定する高さと言えます。またカーテンの下はほぼブランクになっていて、このお部屋らしい余白のある使い方を徹底されています。
本棚の中の棚
本棚に並ぶ書籍のタイトルには、持ち主の審美眼や好みが反映されたものが並びます。上の段の右から2列目と4列目のセルには、「本棚の中の棚」が使われています。文庫本など小型の本は、この本棚の350mmの奥行きを活用して3列で収納することが可能ですが、後ろの列の蔵書はどうしても前の列に埋もれてしまいます。それをこのように本棚の中の棚を使って後ろの列を少し高くして配置することで、背表紙を少し見せた収納になり、大切な蔵書が、間違いなくそこにあることを常に視界の片隅に入れておくことができます。これは持ち主にとって意外と大切な機能です。常にはっきりと自覚して認識しなくても、そこに確実にあることが感じられるので、安心と満足感をもたらしてくれる状態が出来上がります。
本件では、本棚の中の棚の前にできた小さなスペースに、綺麗な表紙の本が表紙をディスプレイするように置かれています。本の表紙のアートワークがお部屋を彩るグラフィックとして活用されて、個性的でおしゃれな雰囲気を作っています。
見せない収納
大切な蔵書のように、本棚に存在感を示すものを見せるばかりでなく、見せない収納も取り入れられています。下の段には、左から2列目と3列目に「ファイルボックス2列」が2つ、また上の段の右から3番目のセルには「A4書類収納用引き出し4段」が活用されています。視界に不安定感を作ってしまう大きさや色合いがまちまちなものを、このボックスや引き出しの中に収納すれば、クリーンなスペースが簡単に出来上がります。
これらのツールは奥行き350mmの本棚専用のアクセサリーです。カセット式なので、使い勝手を工夫したくなったときには別のセルに収納して簡単に配置を変更することが可能です。
この本棚は、棚板を縦横に嵌合させることで構成されています。それぞれのセルの間隔が短いので、セルの中に書籍などをいっぱいに充填して収納しても、棚板のたわみがほとんど無い強さを持っています。この棚板の見付の線が繊細なグリッドを作っているために、本棚自体の見た目の印象は明るく軽やかで、圧迫感がありません。下の段の棚板と、無垢フローリングとの間に等間隔で並ぶ縦板の作るハイライトと影のリズミカルなコントラストが印象的です。
白い壁面と無垢フローリングの上に設置された本棚は、棚板の木の色と棚板の組み合わせによってできる陰影の濃淡、さらにはブレース材の斜めの線によって、空間に心地よいアクセントが付け加えられて部屋に自然に馴染んでいます。使い勝手の良さと機能性の高さを備えた、眠りのためのお部屋にふさわしい静かで整った空間が形成されています。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井やまで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。