リビングダイニングの一面を「Shelf 壁一面のA5判本棚」で埋め尽くし壮観な室内を作られているお客様です。
全集もののコミック本を中心に並べられその最上段にはLPレコードジャケットを飾られています。また日常的に使われる小物類は本棚の約半分程度のサイズの小箱に納められ見えない収納でありながら使いやすい位置を保っておられます。壁面一面を面として埋め尽くす圧巻の室内です。
コミック本全集の魅力
コミック全集の魅力は、単冊だと色や形が散らかって見え、特に原色系が多く、さらに最近ではサイズも2種類あるため、一種のカオス的な印象を与えます。しかし、全集として並べると、その背表紙が連なり一つの絵を形成します。原色系とその補色で構成された背表紙も、一つのアートのように見えるのです。こうなると、コミック本の表装デザインは、実際には全集として並んだ時の美しさを意識しているのではないかと思えてきます。
大人だからこそ、子供に比べて経済的余裕があり、その財力をもとに一度に多くのものを購入することが「大人買い」と言えます。漫画好きな人々は、完結しているシリーズを全巻一気にまとめ買いして一息に読むことが多く、さらにその完結した漫画本を本棚に並べ、いつの日か再びその全集を開く日を待ちながら楽しむ光景が魅力的です。ちなみに、この全集買いの行為は主に漫画本に対して行われています。小説でも同様の行為はありますが、ブームと呼べるほどの広がりは見られません。
現在、コミック本全集をまとめて購入する「大人買い」が静かなブームとなっています。子供の頃の金銭感覚と現在のそれには大きな差があり、以前は考えられなかった全集買いが今では簡単にできることに気づく人が増えています。また、昔の自分に戻りたいという気持ちや、タイトルやその人気は知っていたものの、全体を理解しておらず、当時はその入り口を見つけられなかったといった理由もあります。
アナログレコードジャケットの魅力
一方、レコードジャケットはそのデザインで完結します。トータル約45分の音楽をそのジャケット1枚で表現するため、アーティストおよびその周辺の人々の努力の結晶として、一枚一枚が考え抜かれたデザインとなっています。時代が変わっても、そのデザインが色褪せないのは、こうした背景があるからかもしれません。
本件では、壁一面の本棚の最上段にLPジャケットが並べられています。最上段は使いにくい場所ですが、そこにレコードジャケットを水平にアレンジすることで、所有者の個性や趣味が強調されるのが面白い点です。お気に入りのアーティストを並べるか、自身の嗜好の広さをプレゼンテーションするか、その選択にもセンスが問われます。また、配色も重要な要素となります。ジャケットデザインは渾身の力を込めて作られているため、強烈なデザインが並ぶと落ち着かない印象を与えることがあります。この難しさが、逆にLPジャケットを並べる楽しさを引き立てる要素となっています。
アナログレコードジャケットを並べる
レコードジャケットを並べる行為は、DJの仕事に似ています。DJは、曲と曲をテンポやリズム、雰囲気に合わせてスムースに繋げ、新たな別世界を創り出します。星の数ほどある楽曲を繋ぎ合わせることは、ほぼ無限大に近い組み合わせが生じ、その中で新しいアートが見いだされ、オリジナルの曲の構成から逸脱した新しい世界が生まれます。
レコードジャケットを並べる行為も同様で、そこに含まれる楽曲、ジャケットのデザイン、アーティストが異なるものを並べることで、オリジナルにはなかった新たな世界がコラージュ的に構成されます。これもまた、アナログレコードを媒介とした感覚に依存するジャンルです。このようにして、ジャケットを並べること自体が一種のアートとなり、新しい視覚的な体験を提供します。
見せる収納と見せない収納
本件における見せる収納は、背表紙が揃った漫画本全集と最上段のアナログレコードジャケットに独占されています。これらはもはや見せる収納というよりも、ディスプレイとして積極的に前面に出されています。その一方で、この部屋には見せない収納（隠す収納）も普通に存在します。中段および最下段には無印良品の白いボックスが並び、「Shelf 壁一面のA5版本棚 奥行き180mm」にフィットするサイズです。プレーンな白い表面が整然と並び、上部が適度に見渡しやすいことで、使いやすさをサポートしています。
このように、日常的な生活用品や小物はすべて無印の白いボックスに収められています。リビングダイニングにおける壁面収納として、一見するとすべてが漫画全集とLPジャケットに見えますが、実際には生活用品がすべてこの白い箱に収められているという、非常に優れた構成となっています。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
SERIES23
大容量のコミック本棚
このシリーズではマルゲリータの本棚を使用したコミック収納の考え方、レイアウトなどを実例をもとに紹介しています
