浅間山の麓にほど近い軽井沢の山間にある戸建ての住宅のその室内から続くテラスに「EXA デッキテーブル」、「EXA デッキチェア」を設置いただきました。このテラスはリビングと屋外からなる非日常的な空間で、その大きな開口部を背にして置かれている暖炉の存在が冬の寒さと同時に室内の暖かさを語っています。
アウトドアリビングという言葉にある屋外のリビングは室内のそれと一体化された空間をいいます。しかしその一見分け隔ての無い言葉は温暖な地域でのみ有効であって特に冬季の寒暖差の厳しいここ軽井沢にあってはとてもリビングと一体化した屋外空間とはいい難い場所です。しかし、だからこそ暖かい室内から一歩外に出たそこには違った心地よさがあります。特にそれが雪解けの春先であったり、夏の終わりから秋にかけて少し空気が冷たくなってきた頃は格別な空気が漂います。
その様なコンテクストの中、屋外に置かれたデッキテーブルには当然ながらそれが成り立つために以下の様な機能が必要最小限の機能として求められます。
- 水で腐らない
- 木部が色褪せしない
- 台風の様な強風で飛ばない
腐らない木材
この一連の「EXAシリーズ」はアセチル化木材アコヤという素材で構成されています。アセチル化とは自然界の木材成分と酢酸を化学反応させることで木材中の親水性(水分を吸いやすい性質)のある水酸基(-OH)を疎水性であるアセチル基(-COCH3)に置き換える化学反応を言います。アセチル化により木材の性能を飛躍的に向上させ「腐らない木材」の製造工程として国際的に認められた方法です。アコヤとはそのアセチル化処理を施した木材です。またここで言う化学反応とは新たな有機物質を加えるものではなく、引いていくことによる化学反応なので、結果全てが自然界に存在する成分から成り立つことになり、環境負荷という観点からは完全に無害です。
アセチル化木材は、木材の表面を微細な孔状に変化させることで、水分や紫外線、カビや腐食などの影響も受けにくく、素材に含まれるタンニンや油脂などの有害な成分が取り除かれるため、環境にも優しい素材です。オランダで開発製造されました。表現は必ずしも適切とは言いかねますがアセチル化された木材は見た目は木材に見えますが主成分はほぼ樹脂に近い性能を有する素材と言っても過言ではありません。
以上の様な必要最低限の機能を満たしつつ非日常的なアウトドアリビングを贅沢な空間に昇華させ、俗世間から隔絶された時間を過ごすための屋外家具です。
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