FILE 788

2色で塗り分ける 壁一面のA5判本棚 奥行180mm

【File 788】2色で塗り分ける - 壁一面のA5判本棚 奥行180mm - マルゲリータお客様の声

都内のオフィスビルの一室をこれからデザインツールの販売を行うためにその室内をほぼご自身の手でリノベーションをかけておられるお客様、その商品が入る前の器としての室内のご紹介です。

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ここの10cm四方のグリッドで埋め尽くされた床はお客様自身で施工されたのはもちろんですがその床材そのものにご自身で手を加えられています。30cm四方のシート材にグリッドラインを描きそれを敷き詰めてこのような床にされています。特筆すべきはそのグリッドラインの太さです。ピース状に貼る都合上隣り合う断片に描かれたラインがそのまま重なるとそこだけラインの幅が太くなるのでそこはそこは調整して半分の幅で描かれている、といった手の込んだ作業を重ねて作られています。確かに全体を均一のグリッドで覆うためにはラインの強弱があると本来思い描いていたものとは違うイメージになりがちです。また継ぎ目を見せないためには目地とラインを合わせる必要もあるため、そのあたりを十分に把握された上の仕事と言えます。

本件の様な均一に正方形のグリッドが連続する床材というものは類似品が全く見当たりません。それを事実として捉えてもそれをDIYで実行されるところが驚嘆に値します。

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本棚

この本棚は2色に塗り分けられています。基本的には縦材と横材でその色が分かれます。クールグレイとビビッドなオレンジ系という表現が一番近いかと思われます。この2色はほぼ色環で言う補色(正反対の色相)にあたり色と色が隣り合うとそのコントラストが見た目にかなり強い印象を与えます。更にその2色の明度差が大きいと、特にその境界がチカチカして見え、目に不快感が生じますが、ここでは明度差を落とし、かつ補色に近い上記の2色が選ばれているので明度差による際立った感覚からは免れます。更にそのクールグレイは背面のアクセントウォールとなる壁のグレイ色にも溶け込み、その結果空間にビビッドなオレンジの水平ラインが現れるという事を意識した構成になっていることも分かります。

マルゲリータでは原則として塗装はお請けしていないため、本件の塗装はお客様が自らされたものです。しかもこのお客様は塗装の専門でないにも関わらずその仕上がりは大変美しいものになっています。

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マルゲリータの本棚はシナランバーコア合板で出来ています。縦材、横材に相互に切込みを入れてそれを嵌合する形で組み上げます。その本棚を塗装する場合の手段は二通りあります。

  1. 組み立てた後に塗装をする
    この場合は前述の様な嵌合に支障を来たすことはありませんが塗装部位が全てコマ内部となるため刷毛でそれを全て塗っていくのは想像以上に大変な作業です。また横板の半分以上は上向き(天井面)の塗装になるためその体勢を保つのも一苦労です。塗料の歩留まりも当然悪くなります。更にもう一点、入隅部分に付いた塗料が硬化するとそこが仮止めの様な形になり将来的に解体する際にそれが難しくなるケースも生じます。そもそも本件では縦材と横材の色を塗り分けてあるのでこの方法は現実的ではありません。
  2. 部材の段階で塗装をする
    これは塗料の歩留まりもよく、また素材全般に目が届くため塗り残しも少なく、また塗装条件が同一のため塗装面としては綺麗に仕上がります。しかし交互に嵌合させる箇所に関してはその部分の塗料の付着を避けつつヤスリ掛けが必要です。そこに塗料が残るとうまく嵌められなくなり、しかもそれが数カ所連続すると少しの塗膜の引っ掛かりが作用して嵌合が極めて困難になります。それを防ぐ意味で自然塗料系の塗膜の薄いものをお使いいただきかつ嵌合させる切り欠き部分の内側(組み合わせると見えなくなる箇所)への塗料の付着は出来るだけ避ける様にしていただく必要があります。

本件では、必然的に「部材の段階で塗装をする」を選択されています。しかも木目を残さないで表面をフラットな形にされているので当然ながらそこには「塗り厚」が生じます。僅かな塗り厚がその後の組み立てにいかに支障を来すかはそれをやったことのある本人でしか分かりません。オリジナルの床材を自分で作れるような方にして「二度とやりたくない」と言わせるほどの困難な作業です。しかしそうして出来上がった2色に塗り分けられた本棚の存在感は圧巻です。

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