この度の屋外家具「EXA アウトドアファニチャー」の撮影は、会津・裏磐梯の森に佇む「ホテリ・アアルト」 にて行いました。
磐梯山や桧原湖、五色沼に囲まれた国立公園の中に位置するこの宿は、自然とともに過ごす時間そのものを大切にする場所です。
ホテリアアルトは、築40年の山荘を丁寧にリユースし、会津の自然や文化を現在のかたちへとつなぎ直しています。地元産の杉を用いた内装や、会津の伝統や食文化を取り入れた滞在体験は、過剰な演出に頼らず、環境そのものに身を委ねる静かな豊かさを感じさせます。北欧と会津、ふたつの土地に共通する「自然とともに暮らす姿勢」が、宿の随所に息づいています。
その思想は、屋外空間のあり方にも表れています。森や空、風の気配をそのまま受け止める庭やテラスは、家具が主張するのではなく、風景の一部としてそこに置かれることを求めています。今回撮影した屋外家具もまた、自然に向かって身体を預け、ととのうための装置として、この場所の空気に静かに溶け込みました。

屋外で使われる家具にとって重要なのは、快適さだけでなく、環境との距離感です。ホテリ・アアルトの穏やかな佇まいの中では、素材の質感や構成の簡潔さが際立ち、家具は風景を切り取るための前景として機能します。自然と人、そのあいだにそっと介在する存在として、屋外家具の在り方が最も素直に現れる場所でした。
この場所での撮影は、屋外家具が本来持つ「自然に向かって使われる」という性格を、あらためて確かめる機会となりました。
デッキチェア EXA-SDR
プールサイドやサウナの外気浴用として用いられるこの「Tavola デッキチェア」は、豊かな自然に囲まれた宿泊型リゾートホテルの、広大な中庭に面して設えられています。庭に向かって身体を預け、景色とともに過ごすための「ととのい椅子」としての位置付けです。







「ととのい椅子」とは、サウナで温まった身体を水風呂で冷やした後、屋外で静かに休息するために用いられる椅子のことを指します。急激な温度変化による身体への負担を和らげるため、一定の時間、外気に身を委ねながらゆっくりと呼吸を整える。そのための装置として、この椅子は自然に向かって開かれた場所に置かれています。
本デッキチェアは、ヘリット・リートフェルトの名作「レッド・アンド・ブルー・チェア」へのオマージュとして構想されています。座面と背凭れを、板ではなく連続するリブ構造に置き換えることで、身体を点ではなく面として支え、風や光、視線を適度に通しながら、静かに「ととのう」ための座り心地を生み出しています。
景色に正対し、身体を解放し、時間の流れを緩やかに受け止める。この椅子は、自然の中で心身を整えるための、ひとつの建築的な装置として設計されています。




ジグザグチェア EXA-SDZ
この「Tavola ジグザグチェア」は、いわゆる「くつろぐための椅子」というよりも、一時的に腰を掛けるためのスツールとしての機能を想定しています。板材が折れ曲がりながら自立する、線のみで構成されたかのような姿は、見る者にわずかな緊張感を与えつつ、その大胆な視覚的構成によって独自の存在感を放っています。
構造的には不安定にも見えがちなこのフォルムを成立させるため、本作では両側面にスチール製のフラットバーを配し、全体を確実に固定しています。これにより、視覚的な軽やかさを保ちながら、屋外使用にも耐える安定性を確保しています。単体で主役となる椅子というよりは、デッキチェアなど他の椅子に添える補助的な存在として用いることで、その造形的な個性がより際立ちます。






本作は、ヘリット・リートフェルトの名作「ジグザグチェア」を基に、その三つの屈折点から成る特徴的なフォルムを、連続するリブ構造によって再構成したものです。オリジナルのジグザグチェアは、極限までそぎ落とされた構造美と、わずかな接着面に依存する安定性によって、座る行為そのものに緊張を伴わせる、彫刻的な椅子として知られています。
それに対して「Tavola ジグザグチェア」は、構造の緊張感を適度に和らげ、椅子としての実用性へと引き戻すことを意図しています。座面・背凭れ・底面・立ち上がり面を連続するリブで構成し、視線や風を通しながら身体を支えることで、軽やかさと機能性を両立させています。オリジナルへの敬意を保ちつつ、屋外空間における実用的なスツールとして再解釈した一脚です。




クレイトチェア EXA-SDC
ヘリット・リートフェルトの「クレイトチェア」は、「レッド・アンド・ブルー・チェア」と同時期に構想された椅子でありながら、現在ではあまり広く知られていない存在です。構造やプロポーションには共通点が見られる一方で、座面の長さや全体のバランスには、後の代表作とは異なる特徴が残されています。実際に腰を掛けると、身体を深く預けてくつろぐための椅子というよりも、構造や形式そのものを探るための試みとしての性格が感じられます。
制作背景に関する明確な記録は多く残されていませんが、造形の整理度や仕上げの扱いを踏まえると、「クレイトチェア」は「レッド・アンド・ブルー・チェア」へと発展していく過程における一段階として位置づけることができます。着色されたバリエーションが確認されていない点も、完成形として提示された作品というより、構造的な検討を重ねるための椅子であったことを示唆しています。










「Tavola クレイトチェア」では、そのようなクレイトチェアの持つ特性に着目し、過度な安楽さを求めない椅子として再解釈しています。身体を深く預けるのではなく、姿勢を保ちながら環境と向き合う。その構成は、サウナの外気浴やプールサイドなどで用いられる「ととのい椅子」としての使い方に適しています。
屋外に置かれ、視線を自然へと向けながら、風や光を受け止めるための椅子。
「Tavola クレイトチェア」は、リートフェルトの試行的な造形を手がかりに、自然に向かって静かにととのうための「くつろぐ椅子」として再構成した一脚です。



シェーズ・ロング EXA-CHAISE-LONGUE
背もたれに対して座面が大きく前方へ伸び、脚から全身を預けてくつろぐことのできるソファの一形態が、シェーズ・ロング(長椅子)です。一般的にはクッション材やスプリングを内包し、革や布張りで仕上げられる室内家具として発展してきました。肘掛けを持たず、身体を横たえるための家具として確立された形式であり、低く抑えられた姿勢は、休息に特化した椅子のひとつの到達点とも言えます。
「Tavola シェーズ・ロング」は、その「座面の低い長椅子」という形式に着目し、耐候性に優れたアコヤ材を用いて屋外用家具として再構成したシェーズ・ロングです。内部構造や張地に依存せず、素材そのものの強度と形態によって身体を支える構成とすることで、屋外空間に自然に馴染む椅子として成立させています。
身体を深く包み込むのではなく、面で支え、環境とともに休息する。その姿勢は、サウナの外気浴やプールサイド、庭に面したデッキなどで過ごす時間と親和性を持ちます。視線を空や緑へと向け、風や光を感じながら、静かに身体を解放するための長椅子です。







「Tavola シェーズ・ロング」は、室内で完成されたシェーズ・ロングの形式を、屋外という環境に引き戻し、素材と構成を最小限に置き換えることで、自然に向かってととのうための家具として再定義した一脚です。


ガーデンベンチ EXA-GB
この「Tavola ガーデンベンチ」は、ガーデンテーブルと共通の構成を持ちながら、複数人が腰掛けることを前提としたベンチスタイルとして設計されています。屋外で人が集い、自然の中で時間を共有する場面を想定し、単体で置かれる家具ではなく、周囲の風景や他の家具と呼応しながら使われる存在です。





座面は連続するリブ構造で構成されています。テーブルクロスに頼らずとも、器や食材が自然光のもとで映えるよう配慮された表情を持ち、庭やテラスの風景に溶け込みます。同時に、雨天時にも水が溜まりにくく、屋外環境において安定した使い心地を保つ実用性を備えています。リブ状の座面と三角形の脚部は、テンション材によって緊結されており、この接合部が構造的な梁として機能します。視覚的な軽やかさを保ちながら、十分な剛性と安定性を確保している点も本製品の特長です。意匠と構造が分離することなく、一体となって成立しています。
自然に囲まれた空間に置かれたとき、主張しすぎることなく、しかし確かな存在感を持つ。人と人、そして人と自然をつなぐための、屋外用ベンチとして構成された一脚です。


この事例と関連するプロダクト
屋外用の家具。ガーデンテーブル、チェア、デッキチェアなどのガーデンファニチャー。



