鎌倉御成通りにある毛糸専門店「鎌倉きゅっQ」様、手染め麻糸、綿糸、毛糸、輸入糸、国産メーカーの定番糸からトレンド糸をセレクトして販売されています。その新しい毛糸専門店で「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」「Shelf ロータイプ本棚 移動式」「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を導入設置いただきました。
店内は大きく2つのエリアに分かれています。前面から向かって右側のゾーンには「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」と「Shelf ロータイプ本棚 移動式」が向かい合うように置かれ、ロータイプの本棚はそのまま両面から使えるためもう一方のゾーンにも向かいます。
そしてそのもう一つのゾーンでは「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」と「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」が奥行250mmタイプを勝たせる形でコーナー連結されデッドスペースになりがちなコーナー部も有効に使われています。
上部は全て横板が施されセルの四角形を強調した姿になっています。マルゲリータの本棚は明るい色の棚板の見付が描く縦横の細いラインが格子状に組まれ、大きな壁面を均質に覆います。毛糸という比較的小さな品物は、ショップの壁面に均質なグリッド状に大量に並べることで、一つ一つの毛糸の束の色の違いや質感の違いが際立ちます。同時にそれらの形や色によるコントラストやバリエーションは、まるで障子の桟のように見えるそのビジュアルにより均質化され、壁面に時間が静止するような心地よい視覚効果もまた作り出されています。あたかも綺麗に編み目が揃って出来上がった編み物を見るようです。
このお店で取り扱われている品物は主に毛糸です。世界中からセレクトされた素材や太さや撚り方や染め方など様々なバリエーションを持つ何種類もの毛糸が並び、そのディスプレイ棚としてマルゲリータの本棚をお使いいただいています。大多数の毛糸は一本の糸を輪の状態に巻いたものを緩やかに撚ってまとめたカセの状態で並べられています。このカセがセルの中に縦に5-6段、横にも5-6列ずつ重ねて陳列されています。幅広い選択肢の中から好みの毛糸が選べ、カセの端が並ぶ様子から毛糸の質感を感じ取れると同時に毛糸の太さによってカセのボリューム感が変わってくる姿が見え、編み上がりのゲージを直感的に把握できます。毛糸は何度も出し入れすることで摩擦が過剰にかかると繊維のキューティクルが傷んだりカセがもつれたりほぐれたりしてしまい、あまり大量に積み重ねてしまうと下敷になった糸が重さで潰れてしまいがちなので、等間隔で並ぶセルは毛糸にとって実は優しい環境です。お店で大切な毛糸が丁寧に取り扱われていることが伝わる、そしてニッターさんたちにとって次に編みたい作品のイメージを大いに膨らませることができるディスプレイになっています。
ショップには、使いやすいストックスペースが必要不可欠です。お客様をお待たせしないためにもスタッフの働きやすさのためにも重要なのですが、店頭にできるだけ多くの商品を並べたい思いが先に立ってしまいストック場を使いづらい片隅に追いやってしてしまうことが往々にして起こりがちです。お客様からリクエストのあったストックを確認するためにバックヤードまで行く無駄な動きは接客の流れを妨げてしまいかねません。ストックスペースを兼ねたディスプレイは、お店の中に働きやすさや便利さを加えるだけでなく、クリエイティブな提案力までも付加していると言えます。
編み物が好きな方は「編み針と毛糸の感触だけに没頭して無心に編み針を動かしていると、日常のざわついた生活から切り離されてリラックスできる」とその魅力を表現することがあります。作品を編み上げる喜びだけでなく、仕事や人間関係などから心身を切り離す没入体験も得られると言われています。こうして、編み上げられていく時を待ちながら静かに並んでいる毛糸の様子を見ているだけでも編み物の癒し効果が伝わってくるようです。
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