都内のメゾネット住宅にお住いのお客様です。そのリビングのアルコーブに「Shelf 開口部のある本棚」を設置いただきました。ベランダからは柔らかい光が差し込み、ベランダと直行する壁に設置された本棚のグリッドがその陽光と呼応します。インテリア系のお仕事に携わっておられるご主人は、その趣味に囲まれた部屋をおしゃれに纏められ、統一感のある洗練された空間を作っておられます。
その中でも特に本棚に設置されているDJブースは大きく開けられた開口に置かれていて、その存在をより際立たせています。開口は横5コマ分開けられ2台のターンテーブルとミキサーが収まり、高さは棚で調整され、上段にアナログレコードを収納することによりDJブースとして使いやすい構成になっています。本棚の向かい側には、ソファーを挟んで真空管アンプとYAMAHAのスピーカーが並びます。真空管アンプではアナログ特有の温かみのある音質を楽しめます。トランジスタアンプの音質をCDに例えるなら、真空管アンプの音質はアナログレコードに近いといえます。真空管のレトロな外観も相まってリラックスして音楽を聴くことができます。
高い位置に置かれたプロジェクター
本棚の上部には、もう一つ小さな開口が開けられプロジェクターが置かれています。背の高い本棚のメリットの一つとして高い位置にプロジェクターが置ける、という点があります。短焦点のプロジェクターでない場合、ある程度の焦点距離を確保したうえで設置する必要があり、その際に低い位置にそれがあると人が横切る度に映像が途切れ、その動線へ物が置けない等のデメリットがあります。その点マルゲリータの本棚は天井いっぱいまで棚があるため、より高い位置へ設置することが可能になり、人の背の高さよりも上に光源が置かれ、その前を遮るものが少なくなりより快適に映像を楽しむことができます。
見せない収納と見せる収納
日用品、雑貨、小物等の細々としたもの、さらにはファイル類などは積み重ねると探すのも難しく、またスペースもとりその見た目はあまりいいものではありません。この本棚のセルの一部には「奥行350㎜専用カセット」やファイルボックスが使われています。それらを使うことにより、表面はフラットになり見せない収納として機能します。またそれにより、同一本棚内で見せる収納と見せない収納が共存しているのも使いやすさを増しています。
アートフレームを床に置く
床にアートフレームを置いて飾る、この行為はまるで壁に掛ける前の状態を迷っている、あるいはそのものの数が多いのでとりあえず床に置いてどちらにするか決めているかの、いずれにせよアートを飾る事に関する「こなれた感」が演出できる手法です。センスよくおしゃれな感じと言ってしまえばそれまでですが、例えば画家のアトリエで多くの習作を含めたその作品が床に置いて壁に立て掛けられている光景、ギャラリーで展示物が飾られながらも最後の調整を行っている光景、そういった姿を彷彿させられます。ここでは、本棚とソファの間の通路の先にそのアートフレームが置かれ、まるでそれに向かって道が続いているようにも見えます。
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