間仕切りで使用する(オフィス編)

TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - トピックス - atSITE margherita

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壁面の床から天井までを本棚で埋め尽くす「Shelf 壁一面の本棚」は壁面に取り付けられることが前提です。しかし壁面から離して設置することでそれは間仕切りとなり、しかも立ち位置によっては向こう側が見えるといった穏やかな間仕切りを兼ねた収納スペースとして機能します。

間仕切りと収納が一体となることで床面積を最大限に有効に活用したコンパクトな空間づくりが可能になるこのやり方は、新しいオフィスの設計においても非常に有効です。また、「Shelf カウンター付き本棚」は収納スペースと作業スペースを手近にします。また「Shelf ロータイプ本棚」は天板が手の届く高さにくるので、どちらもデッドスペースを作りません。

今回は、上記の本棚を各々のオフィスに求められるニーズに合わせて加工し、ただの本棚・ただの間仕切りという枠に収まらない機能を発揮している事例をご紹介します。

通路とワークスペースを区切る本棚

通路とワークスペースを区切る本棚 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita

空間デザインを中心にグラフィック、映像、WEB等のコンテンツを制作されている株式会社ジゴワット様には、西新橋のオフィスにおいてワークスペースと通路の間仕切りと兼用する形で「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」をご利用いただいています。

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間仕切りとして利用するため、本棚自体はL字型の金物で天井に固定されています。一般的なオフィスビルの天井は軽天下地と呼ばれる、軽量鉄骨を下地として石膏ボードやジプトーンなどの吸音板を貼った造りになっていますが、ボード類に本棚を固定することはできないため下地である軽量鉄骨に固定しなければなりません。この場合、下地である軽量鉄骨の位置を探してそこに金物で直接固定するのが最も適したやり方です。
本件では、ほとんど本棚に直交する部分に下地の軽量鉄骨が流れていたため、そこにL字型のアングルを使って固定しています。L字型のアングルは長めの物を使用することで固定に使える軽量鉄骨を探しやすくなります。しかしそれでもちょうどいい場所に下地が見つからなかった場合にはベニヤ板を天井下に一枚流し(天井下地に固定し)てそのベニヤ板に固定する方法を取ります。

通路とワークスペースを区切る本棚 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita
通路とワークスペースを区切る本棚 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita

Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を2台連結したこちらの事例では、間仕切りとしての役割と本棚としての役割、両方において快適に使えるよう機能的かつコンパクトにまとめられています。
具体的には、通路への設置はワークスペースから事務所のバックヤードが見渡せないよう間仕切りの役割を果たし、さらに本棚としては、様々な資料を身近に探せるという役割を果たしています。また、本棚の両面が目に触れる形で使われるため、裏面の仕上げも巾木カットをしない構成になっています。
通路側から本を差し込んでいるためワークスペース側から見ると本の後ろ側が見えることになりますが、棚のところどころにアクセントとしてオブジェクトを配置することで、全体が統一された雰囲気になるよう工夫がなされています。

門型の本棚でオフィスを仕切る

門型の本棚でオフィスを仕切る - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita

こちらは、書籍、ムック、図書館本、パンフレット等を制作する編集プロダクションである株式会社スリーシーズン様の事例です。オフィス移転に伴って新オフィスの内装工事と合わせて設置いただきました。「Shelf 壁一面の本棚 奥350mm」を門型に加工した、一見して間仕切りには見えないデザインです。

門型の本棚でオフィスを仕切る - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita

オフィスの入口には編集プロダクションとしてこれまでに手がけた書籍が面出しで並んでおり、角を曲がると左側の壁面を覆う本棚が見えてきます。本棚は、中央に3コマ分の開口部を設けた門型に組まれていて、そこを通ると来客用の打ち合わせスペースに続きます。
この門のような開口部は、左右の大きな本棚を上空に設けた1段3コマの本棚で繋ぎ合わせた3つのパーツ構成で成り立っています。
一見、本棚が壁面全体を覆っているように見えますが、実はその向こう側にある打ち合わせスペースと水回りスペースの仕切りになっています。2つのスペースを穏やかに分けており、区切られているという印象を与えないオフィスデザインです。

またこの本棚には背板があり、そのことによってブレース板がない仕様となっています。ブレース板がなくても背板によって水平方向の剛性が保たれるため、上部を本棚の背後にある柱に固定することにより転倒防止の機能を果たします。

門型の本棚でオフィスを仕切る - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita
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以上の点に加えて最上段に横板を取り付けたことにより、一見すると切りっぱなしの上段やブレース板といったマルゲリータ本棚としての特徴が見当たらない、普通の本棚のように思えるかもしれません。
ですが、正方形の連続したセルによるグリッドデザイン、シナ合板の綺麗な杢目、フレームの見付けといった点から、私たちの本棚であることを見出していただけるかと思います。

モノトーンの空間に合わせたダークグレイの塗装

モノトーンの空間に合わせたダークグレイの塗装 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita

渋谷区千駄ヶ谷にあるアパレル系のデザインオフィス、株式会社NAVY様の導入事例です。
オフィス移転に伴って新しくオフィスデザインも一新され、「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を商談コーナーとオフィスとの間仕切りとして利用していただいています。
商談コーナーはショールームも兼ね、ニット系の商品を展示。本棚にはカタログ等の資料が並べられていますが、この本棚は施工の際に現地でダークグレイに塗装されています。
打ち放しのコンクリートの天井、石膏ボードの白い壁、ライトグレーのリノリウムの床。
それらにダークグレイの本棚が重なることで、空間全体をモノトーン調で統一。そのことで生活感のない空間になっていますが、この生活感のなさが日常から離れた気分を呼び起こし個々の展示物を引き立たせる、アパレル系のオフィスに適した手法です。

モノトーンの空間に合わせたダークグレイの塗装 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita
モノトーンの空間に合わせたダークグレイの塗装 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita
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このように、モノトーンの空間では見せたい色を引き立たせることができます。
例えば、白を基調とした配色では広がり感や清潔感を演出でき、黒を基調とした配色では部屋全体に引き締まった印象を与える、などといった効果が期待できます。
アパレル系の店舗では前者の白を基調としたインテリアがよく見られますが、本件ではあくまでも商品をそのままの印象で見せることを目的としているため、白基調から少し離れてグレー基調にシフトしています。商品とメーカーのカタログ以外のほぼ全てが中立的なグレーの色調で構成されているため、魅せたい商品の色がそのままの姿で目に飛び込んでくるのです。
また、スタイリッシュな印象を損なうことなく居心地の良さを加える手法として、観葉植物や木製のオブジェクトなどを取り入れることもできます。自然のアイテムを配置することでモノトーンの硬い雰囲気をやわらげ、落ち着いたオフィスデザインを作ることができ、実際に本件でも本棚手前の壁沿いに観葉植物が配置されています。

また、この事例での“コンクリート打ち放し”は、一般的なそれと違い打ち放しにすることを前提で作られたものではなく、天井板を外した状態です。そのため、普通は天井裏に隠される設備配管や配線も剥き出しになっています。
しかしその飾らないコンクリート面は、元から綺麗な仕上がりだったこともありますが、人為的な工作が入っていない分自然に近い印象を与えることにも寄与しているといえるでしょう。

天井を外した空間を活かす縦長の本棚

天井を外した空間を活かす縦長の本棚 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita

オフィスのリノベーションにおいて、既存の天井板を外して躯体を顕にする事例を時折見かけます。都内の制作会社様のオフィスに「Shelf カウンター付き本棚」を導入いただいた本件も、そうした事例の1つです。
本棚を縦に2段、縦方向に連結させることで、梁下いっぱいを本棚として使用しており、この「Shelf カウンター付き本棚」を境にして本棚側はそのまま打ち合わせスペース、カウンター側は作業スペースとして仕切る事で効率の良いオフィス空間を設計しています。

天井を外した空間を活かす縦長の本棚 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita
天井を外した空間を活かす縦長の本棚 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita
天井を外した空間を活かす縦長の本棚 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita

本件では、「Shelf カウンター付き本棚」の上に2段分のコマを縦方向に連結させていています。連結にはH型ジョイントを使用し、それぞれ上下の縦材と緊結。それに加えて、下部にカウンターが張り出していること、上部は梁型に固定されていることから、縦に長い本棚でも安定した形で設置できています。
また、カウンター面と反対側の縦材、横材の端部にも木口テープを貼っており、両面から見て整った仕上がりになっています。

こうした、天井板を外して梁下いっぱいを利用する事例のうちの大多数は、デザイン系の会社や設計事務所などのクリエイティブな業態の会社に見られるものです。
このようなやり方にはメリットとデメリットがそれぞれあります。
メリットとしては、“天井板がなくなった分、天上が高くなること”や“打ち放しコンクリートの天井に面することにより気持ちのいい空間を得られること”が挙げられます。特に本件では、顕にしたコンクリート面及び天井板がなくなったことで剥き出しになった配線配管を全て白で塗装しているため、まるで物事が静止したかのような独特な空気感も醸し出しています。
その一方、デメリットとしては“冷暖房の効率が悪くなること”や“建築基準法・消防法と照らし合わせると不都合な面が生じることがある”などがあります。後者に関する具体例の1つとしては、防煙区画に変更が生じることが挙げられます。その場合は排煙設備の改修が必要になるため注意が必要です。

天井を外した空間を活かす縦長の本棚 - TOPICS 29 間仕切りで使用する(オフィス編) - atSITE margherita

建物の規模が大きいほどこうしたデメリットが生じる可能性は大きくなりますが、小規模のビルについてはほとんど心配ないといっていいでしょう。
また、このようなデメリットを乗り越えて構成された空間は、卓越された、たいへん得難い効果を得られるはずです。本件も、そうした事例の一例といえます。

衝立としてのロータイプ本棚

衝立としてのロータイプ本棚

こちらはTV番組制作会社である株式会社ぷろぺら様に「Shelf ロータイプ本棚」を設置いただいた事例です。
こちらの会社には以前「Shelf カウンター付き本棚」を4台設置していただいており、そのカウンター部分はスタッフ席として使用されています。
それから6年ほど経った2017年に、「Shelf ロータイプ本棚」をオフィスの新たな収納スペースとして設置しました。

衝立としてのロータイプ本棚

この「Shelf ロータイプ本棚」は、建物の構造上動かすことのできない柱を起点としており、「Shelf カウンター付き本棚」のある壁面と反対側の壁面との中間部分に間仕切り的に置かれています。高さが1064mmの本棚の上にモニター・DVDデッキ・プリンターが設置されており、このプリンターはスタッフ席のすぐ背後にあたるため、印刷物を効率よく回収できる動線ができています。柱のコンセントに差されたコード類は、床と最下段棚板の隙間を這うようにして工夫してまとめられています。
Shelf ロータイプ本棚」には背板がなく両面からアクセスできるため、スタッフの背後のスペースを邪魔することなく備品を出し入れすることができるようになっています。
この、背板のない本棚の平面方向の剛性を確保するための構造が、最下段の両端のセルに置かれたブレース材です。

衝立としてのロータイプ本棚

この「Shelf ロータイプ本棚」は、専用のアクセサリーによって機能をより高めることが可能です。
本件においては、全21個のうち12個のセルに専用のアクセサリーが導入されています。使われているアクセサリーは、「A4書類収納用引き出し」と「ファイルボックス1列」です。これらのアクセサリーは表面には指を掛けるための穴が1つずつ開いているだけというシンプルなデザインで、高い収能力とオフィスの景観を両立しています。

また、以前設置された「Shelf カウンター付き本棚」も、6年の時を経てさらにご活用いただいているようです。設置当時と比較すると、収納用アクセサリーがより手元近くに配置されています。使う頻度、手の届く位置、視界に入る位置などを考慮して自然に最適な場所へと移動していったと考えられます。

衝立としてのロータイプ本棚

オフィスの一部としての間仕切り

今回紹介してきた事例は、全てが本棚を間仕切りとして利用するものでありながら、それぞれ全く異なる組み合わせで異なる加工が施されています。
業態や個々の会社によってオフィスの形態はさまざまであり、間仕切りを兼ねる本棚を設置する際には各々のオフィス空間の一部を構成するインテリアとして空間に馴染み、なおかつ機能を充分に発揮することが求められます。

「Shelf 壁一面の本棚」を始めとする「Shelf 壁一面の本棚」は、個々の空間に合わせたカスタマイズやオーダー加工が可能です。
ただ本棚を設置するのではなく、オフィス全体の設計の一端として本棚を加工・設置することは、スタイリッシュかつ効率的な空間づくりに大きく寄与するでしょう。


このトピックスの関連プロダクト

Shelfシリーズ / 壁面を天井やまで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。

Shelfシリーズ

壁面を天井やまで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。