「造作の本棚を検討しているけど、一度つくると戻せなくなるので後悔するのでは?」と考える方も多いのではないでしょうか。
造作本棚は空間に美しく納まる反面、費用や使い勝手、将来の変化まで含めて慎重に計画を立てる必要があります。
計画があいまいなまま製作してしまって、完成後に「想像と違った」と後悔してしまうケースも少なくありません。
そこでこの記事では、造作本棚で後悔しやすいポイントや、失敗しにくい選び方、造作以外の現実的な選択肢などについて詳しく解説します。
後悔のない本棚選びにつながるヒントとして、ぜひご活用ください。
Contents
造作本棚とは
造作本棚とは、既製品を買ってきて設置するのではなく、お部屋の実際の設置スペースに合わせて寸法を決め、個別に設計・製作する本棚のことです。
新築時に設置する作りつけの本棚だけでなく、既存住宅に後付け工事をする場合も造作本棚と呼びます。
造作本棚は空間にミリ単位でフィットさせる設計が可能なため、既製品では対応しにくい場所にも無駄なく収納を設けられます。
たとえば、天井高を活かして壁一面を収納にしたい場合や、梁や柱が絡む壁面など、既製品では寸法が合わないケースでは、造作本棚を選ぶことで収納効率が上がります。
家具のサイズに空間を合わせるのではなく、空間に合わせて本棚を設計できる点が特徴です。
また、家具としての存在感を抑え、内装と一体化した収納を求める場合にも、造作本棚は適しています。
ただし、場合によっては「失敗した」「やめておけばよかった」と設置を後悔するケースもあるため、慎重な設置計画が必要です。

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造作本棚で後悔する原因
造作で本棚を設置する際に後悔が生じる原因は、「レイアウト変更ができない点」と「費用が高額になりやすい点」に集約されます。
造作本棚は、設置スペースに合わせて寸法や仕様を細かく決められる反面、完成後に棚の構成を柔軟に変更することが難しい収納です。
レイアウト変更は出来ない
造作本棚は多くの場合、移動を前提として設計されていないため、お子さまの成長や在宅勤務への切り替えなどによって生活スタイルが変わると、当初の想定と実際の使い方にズレが生じ、後悔につながるケースが見られます。
そのため、万が一の場合に移動させられたり、引っ越しする際も持っていけるタイプで、造作本棚並みの収納力を持つ本棚を選ぶのも一つの選択肢です。
費用が高額になる傾向がある
造作本棚は、デザインや使用する材料、設置が新築時か後付けかといった施工条件などによって、ほとんどの場合に既製品よりコストが高くなります。
職人の人件費は安くはないため、数日かかるような本棚を造作する場合、数人✕数日分の人件費がかかります。
また、塗装や面材にこだわったり、新築時ではない後付け工事になると、費用が想定以上に膨らむケースも少なくありません。

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マンションでも造作本棚は施工できるのか
マンションでも造作本棚を施工することは可能です。
ただし戸建て住宅とは異なり、いくつかの前提条件を整理したうえで計画しなければ、後悔につながる可能性があるので注意する必要があります。
マンションで造作本棚を検討する際に、事前に確認しておきたい主なポイントは次の3つです。
- 壁下地の位置や固定方法に制約がないか
- 管理規約で工事内容が制限されていないか
- 書籍の重量を考慮した床荷重への配慮ができているか
マンションの壁内には下地材が入っており、造作本棚は下地にビスを効かせて固定することで強度を確保します。
しかし、下地の位置が限られている場合やコンクリート躯体への加工(ビス打ち)が認められていない場合は、棚を固定できる位置が制限され、想定していた高さや幅で設計できないケースもあります。
またマンションでは、工事内容や施工時間、騒音への配慮などが管理規約で細かく定められていることが多く、造作本棚の施工にあたっても事前申請や承認が必要になる場合があります。
特に既存住宅への後付け工事では、事前申請や日程調整に時間がかかることが多いため、スケジュールに余裕を持たせることが大切です。
さらに見落とされがちなのが、書籍の重量です。
本は、一冊一冊は軽いものの、壁一面に収納すると200㎏を超える重量になるケースも珍しくありません。
そのためマンションによっては床置きを主体にした構成にしたり、収納を分散させたりといった配慮が必要になることもあります。
マンションで造作本棚を設置する場合、構造・規約・重量という3つの条件を前提に計画することが、後悔を避けるための大切なポイントです。

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造作本棚の一般的なサイズ目安
本棚の造作で後悔しないためには、収納する本のサイズに合わせた設置計画を立てることが大切です。
以下は、書籍の種類ごとのサイズ目安をまとめたものです。
| 書籍の種類 | 本の高さ | 奥行きの目安 | 棚板の間隔(内寸の高さ)の目安 |
| 文庫本・新書 | 約15㎝ | 15~18㎝ | 18~20㎝ |
| 単行本 | 19~22㎝ | 20~23㎝ | 22~25㎝ |
| A4資料・雑誌 | 約30㎝ | 25~30㎝ | 32~35㎝ |
収納する書籍のサイズによって、適した奥行きや棚板の間隔はさまざまです。
寸法があやふやなまま設計してしまうと、収納時に不自然な余白が生まれたり、特定のサイズの本が収まらなかったりといった使い勝手の悪さにつながりやすくなります。
造作本棚のサイズを決める際には、現在所有している本のサイズだけでなく、今後増える可能性のある書籍や資料の種類まで見据えて、寸法そのものを慎重に検討することが、造作本棚で後悔しないための重要なポイントです。
なお棚板の間隔は、収納する本の高さに2〜5cm程度の余白を加えた寸法を目安としましょう。
出し入れのしやすさと収納効率のバランスが取れ、日常的に扱いやすい構成になります。

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造作本棚の費用相場
造作本棚の費用相場は、内容がシンプルなものであればおおよそ10万円台後半〜30万円前後が目安になります。
壁付けで奥行きが浅く、デザインも比較的単純な場合は、この費用帯に収まるケースがほとんどです。
一方で、造作本棚はサイズや仕様によって金額の振れ幅が大きい収納です。
壁一面を使った大規模な本棚や、棚板の枚数が多い構成、仕上げ材や塗装にこだわる場合には、40万円以上になることも珍しくありません。
また費用は施工のタイミングによっても変わります。
既存住宅へ後付けするケースでは、養生や下地補強、現場調整といった工程が加わるため、新築時の工事と比べて2〜5割程度費用が高くなる傾向があります。
造作本棚で後悔しないためには、金額だけでなく、自分の希望するサイズや仕様が、どの価格帯に当てはまるのかを意識しながら慎重な判断が必要になるでしょう。

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造作本棚よりも既製品・セミオーダー本棚がメリットは多い
造作本棚を設置したいものの、可動性や費用面で後悔しそうだと感じる場合は、既製品やセミオーダー本棚を選択肢に入れてみるのも一つの方法です。
既製品・セミオーダー本棚は、必要に応じて買い足したり、構成を見直したりできる点が特長です。
収納量や使い方が変わった際にも完全に作り替える必要がなく、暮らしの変化に合わせて調整しやすい点は、大きな安心材料といえるでしょう。
中でもセミオーダー本棚は、基本となる寸法や構成はあらかじめ設計されていながら、設置する壁面の幅や高さに合わせて組み合わせを調整できます。 造作本棚にありがちな作り変えや買い替えのリスクを抑えながら、空間に合った収納を実現できるのは大きなメリットです。
たとえばマルゲリータの壁面収納は、壁面にある窓やエアコン、コンセントの場所をカットしたり、幅や高さを調整することができるほか、天井と収納本棚の間に「フィラー板」をはさむことにより地震対策も可能です。
さらに、ライフスタイルや収納量の変化に応じてユニットを買い足したり、用途に合わせて構成を整えたりしながら、長く使い続けられます。
棚の中に棚を設ける専用オプションなどを活用すれば、収納の幅を後から広げることも可能です。
また以下のように文庫本・単行本・A4サイズの雑誌や資料など、実際の収納物を想定した奥行き寸法が用意されているため、造作本棚で後悔しがちな「想定と実際のズレ」を感じにくくなります。

出典:マルゲリータ公式サイトhttps://www.margherita.jp/shelf/slf-lr_index.html

出典:マルゲリータ公式サイトhttps://www.margherita.jp/shelf/slf-ar_index.html
書籍の重量を前提に設計された構造で、目一杯詰め込んでも1mm以上たわまない強度を持ち、収納量が増えても安心して使える点も選ばれている理由の一つです。
おしゃれな壁一面の本棚の設置実例
壁一面の本棚は、住まいの雰囲気を決める大きな要素です。
だからこそ、見た目だけでなく、使い続けたときの心地よさまで想像することが欠かせません。
ここでは、造作で後悔しがちな点に配慮しながら、空間に自然と溶け込む壁一面の本棚の実例をご紹介します。
端正さと柔らかさを両立した壁面本棚

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こちらは、Shelf 壁一面の本棚 奥行350mmを社長室に設置した実例です。
業務用のファイルを中心に収納しながらも、棚ごとにファイルの種類や色味を揃えることで、空間全体が整然とした印象に仕上がっています。
注目したいのは、本棚を「書類収納だけ」に限定していない点です。
賞状や記念品、ゲン担ぎのだるまなどをバランスよくレイアウトすることで、いかにも社長室といった堅さを抑え、落ち着きと品のある雰囲気をつくり出しています。
機能性と意匠性を両立させながら、長く使い続けられる壁面収納の好事例といえるでしょう。
大容量の収納物を受け止める柔軟性の高い壁面本棚

出典:マルゲリータ公式サイトhttps://www.margherita.jp/user/file_842/
Shelf カウンター付き本棚を建築事務所のオフィスに設置した実例です。
図面ファイルやカタログ、サンプル類など、サイズも用途も異なる収納物が多い環境でありながら、壁面全体を使って無理なく整理されています。
また棚の上部にオプションのカセットを導入したり、下部に他のシリーズの製品を組み合わせたりすることで、書類や写真などさまざまなサイズ・用途のモノを一挙に収納している点にも注目です。
実は造作本棚で業務用収納を計画すると、用途を細かく決めすぎてしまうあまり収納物の増減や種類の変化に対応できず後悔してしまうケースも少なくありません。
しかしこちらのオフィスでは、壁面本棚を他シリーズの家具と組み合わせることで、本棚をベースにしながら、空間や動線に合わせた多用途の収納として柔軟に活用しています。
壁面本棚で無理なくまとめたリビングとワークスペース

出典:マルゲリータ公式サイトhttps://www.margherita.jp/user/file_816/
リノベーションによって生まれた広い壁面に、Shelf 壁一面の本棚奥行250mmとShelf ロータイプ本棚を設置した事例。
リビング兼ご主人のワークスペースとして使われる空間に、本や資料、仕事道具までをまとめて収納しながら、開放的な雰囲気を保っています。
大容量の収納物は、そこに置くだけで圧迫感が生じ後悔の原因にもなりがちです。
しかしこちらの事例では、グリッド状の構成と余白の取り方によって視線の「抜け感」を演出することで、リビングとしての心地よさも保っています。
反対側のアルコーブには、奥様用のワークスペースとしてShelf カウンター付き本棚を採用。
壁のくぼみに沿って収納とカウンターをまとめることで、空間を有効活用し、落ち着いた作業スペースを実現しています。
音楽家の演奏を支える壁面本棚

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こちらは、チェリストのお宅の音楽室にShelf 壁一面の本棚 奥行350mmを設置した事例。
書籍だけでなく、オーダーメイドでカスタマイズした開口部にはアンプやプレーヤーなどのオーディオ機器まで収納しています。
また柔らかく自立しにくい楽譜を平置き収納するためのPiano A3書類棚と組み合わせても、全体に違和感のない構成にも注目です。
造作で用途別に家具を作り込むと、使い道が限定されすぎてしまい、後から後悔につながることがあります。
特に、住まいの中に仕事の要素を持つ空間は使い方の変化が起こりやすい点には注意が必要です。
しかしこちらの事例では、用途の異なる収納を並べても素材感や寸法体系が揃っているため、全体的に統一感のある空間に仕上がっています。
リズミカルな壁面本棚で大容量でも軽やかに

出典:マルゲリータ公式サイトhttps://www.margherita.jp/user/file_603/
Shelf 壁一面のA5判本棚は、漫画やCD、生活用品までを一ヶ所にまとめて収納することも可能です。
印象的なのは、見せる収納と隠す収納のバランス。
背表紙が揃った漫画本の全集や、最上段に並べたアナログレコードのジャケットが視線を引きつける一方、一部に無印良品のボックスを取り入れることで、単調になりがちな壁面にリズムが生まれています。
また収納するモノに合ったサイズの本棚を選んでいる点もポイントです。
大容量収納は、収納力を優先しすぎると空間のバランスが崩れ、後悔の原因になることがあります。
しかしこちらの事例では、無理に詰め込まず適度な余白を残すことで、大容量でありながら圧迫感を感じにくい壁面収納を実現しています。
まとめ
今回は造作本棚で後悔する原因や、設置を迷った際に知っておくべき選択肢などについて紹介しました。
造作本棚は空間にぴったり納まる反面、完成後の変更が難しく、計画次第では後悔につながる可能性があります。
収納量や使い方の変化を前提に考えるなら、既製品やセミオーダー本棚がおすすめです。
中でも、拡張性やオプションによって柔軟に使い続けられる壁面本棚は、造作の雰囲気と実用性を両立できます。
自分の暮らしに無理のない形を実現することで、後悔のない本棚選びができるでしょう。
マルゲリータのショールームでは、今回紹介した壁面本棚以外にも、色々なインテリアを多数ラインナップしています。
おしゃれで実用的なインテリアの購入を検討している方は、お気軽にご予約ください。














