書斎

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書斎は、かつては読書や執筆に使われる机や本棚の配置された部屋を指し、後には仕事を行うワークスペースとしても機能するようになり、今では単に個人のプライベート空間としても捉えられるようになっています。
現代の書斎では、家具や装飾だけでなく、使いやすいレイアウトにもこだわりが見られます。
仕事用の書斎から家族全員が利用するプライベート空間まで、様々な形態が存在します。

かつて、書斎は知識人や文人の居宅に設けられ、読書や執筆のための専用空間とされていました。
この空間は、彼らの主要な仕事場であり、現代の自宅兼仕事場に相当します。
しかしながら、かつての書斎という概念は、文学や知識に携わるごく一部の人々に関連付けられるイメージがありました。
彼らは、自宅にこもって文筆業に従事し、一般の人々とは距離を置いて活動すると考えられていました。

しかし、現代では、多くの人々が会社から仕事を持ち帰ったり、自身の趣味や個人プロジェクトに取り組むために使う部屋も書斎と呼ばれるようになりました。
この変化には、インターネットの普及や、特に新型コロナウイルスの影響による在宅勤務の普及が大きな影響を与えています。
これらの働き方の変化により、書斎という空間が一般的になってきました。

書斎レイアウト

【file 754】書斎の壁面収納 - Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm - マルゲリータお客様の声

自宅での作業空間は、単なる仕事場の域を超えて、個人の生活や趣味と深く関わる場所として位置付けられます。
このため、書斎のデザインには、個々の好みや興味が豊かに反映される傾向があります。
仕事に取り組む際は、パソコンに向かって集中しますが、ふとした瞬間には趣味のアイテムが視界に入るように配置されており、作業とリラックスを自然に行き来することができる環境が整えられています。

将来的な家族構成の変化を考慮し、書斎を独立した一室に設けるか、あるいは部屋の余剰スペースに配置するかの検討も必要です。
書斎を独立した一室にする場合、レイアウトの柔軟性を持たせるか、あるいは固定の仕様にするかも同様です。
家族構成や生活環境が変化する可能性を考慮し、書斎の設計や配置については試行錯誤的な計画が求められます。

リビングの一角を書斎にする

大容量でおしゃれな本棚

リビングやダイニング、寝室などの一部分にデスクや棚を配置して、簡易的な書斎スペースを作る方法もあります。
自宅に余分な部屋がない方や、ちょっとした雑音に対してさほど敏感でない方にとっては、このような書斎スペースが適しています。
壁面や部屋の余白を有効に活用することで、空間を効率的に使うことができます。

ただし、リビングを書斎として利用する場合、通常は一時的な解決策として用いられることの方が多いです。
しかし、リビングを本格的な書斎として活用する考え方もあります。
その場合、夫婦で共有するスペースとして、それぞれのデスクを設けることや、広々とした空間内で閉鎖的な書斎ゾーンを作り、共有しながらも個別の書斎として利用することがあります。
この考え方で、リビングやダイニングの使い方が大きく変わるだけでなく、寝室の機能や使い方も変化します。
寝室は従来、就寝以外の活動にも使われていましたが、ここでは単に眠るための空間としてのみ機能します。
こうした変化によりプライベートとパブリックの境界線が徐々に変化していると言えます。

書斎という部屋を構成する

【File 770】ホームシアターに続くデスク付き本棚 - Shelf 壁一面のA5判本棚 奥行180mm - マルゲリータお客様事例

これは現在では使っていない客間や子供部屋など、空いている部屋を完全な書斎にする方法です。
未使用の客間や子供部屋などの余地があれば、そこに大型の書斎デスクや書棚を配置し、スペースを最大限に活用することができます。
このような環境では、壁や扉によって独立した空間が形成されるため、仕事や作業に専念しやすい環境が整います。

寝室書斎

ポップインアラジン | カウンター付き本棚 / Shelf (No.45) | マルゲリータお客様の使用例 ライト 照明 Dyson Lightcycle Morph ダイソン Poppin Aladdin

寝室と書斎を兼用する場合、ご夫婦の寝室内に書斎スペースを設ける場合と、片方の個人の寝室に設ける場合で大きく異なるのがベッドと机の間にパーティションを設けるかどうかです。
基本的に一人の場合はベッドと机は並んでいても構いませんがパートナーがいる場合、パーティションは必須です。
ベッドスペースと作業スペースの間に適切な仕切りがなければ、作業中に集中力が途切れるかもしれません。

書斎と寝室を分ける際には、書斎を半個室のような状態にすることが重要です。
特に、寝るときにベッドから机やパソコンなどの作業スペースが見えないようにすることがポイントです。
これにより、作業と休息の切り替えがスムーズに行えますし、書斎での作業にも集中しやすくなります。

また、照明などの工夫により、パートナーが寝ているときでも書類仕事などの静かな作業が可能です。
適切な仕切りには、パーティションや間仕切り収納家具など、寝室のサイズやインテリアと調和するものを選ぶことが重要です。

特に深夜や早朝に作業を行う場合、音や光が家族の睡眠を妨げることが懸念されます。
そのような場合には、パーティションやカーテンを利用したり、本棚を間仕切りとして活用したりすることが推奨されます。

和室書斎

書斎は元来、知識人や文人の住まいに設けられた、読書や執筆をするための部屋であり、その起源は明治時代の中頃にさかのぼると考えられます。
古典的なイメージでは、和室を利用した書斎(この当時はほぼ全てがそうだと言えます)は窓際の障子に面した場所に文机が据えられ、机の前後には書籍が積み重ねられた光景が広がります。
和室で書斎を設ける場合、床に座ったり座椅子に座って利用することが一般的で、その風景はまさに理想的な書斎として捉えられます。

しかし、150年弱の歳月が経過し、日本人の生活様式そのものが、戦後特に大きく変化する中で、床に座る習慣はほとんど見られなくなりそれに代わって欧米の洋風と言う生活様式に急激に変わりました。
和室用の椅子も一般的になり、和室でテーブルを囲んで椅子に座る光景にも特段の違和感はなくなりました。
書斎としての和室も、机と椅子を畳の上に配した形態が一般的になり、単に和風の室内というだけで、使用法は一般的な書斎とほとんど変わりません。

しかし、和室を書斎として利用する場合、やはり床に座った状態で文机を使いたいという願望は根強いものです。

書斎デスクの理想的な大きさ

書斎を整える際に必要な要素は、主に書棚とデスクです。
デスクのサイズは、作業内容に合わせて慎重に選択する必要があります。
広いデスクほど作業性が高まりますが、最低限の基準としては、70-80cmの奥行きが望ましいとされます。
また、幅に余裕がある場合は、45cmでも十分な場合もあります。
デスクの奥行きが深いほど、散らかりやすく、奥になるほど使用頻度が低下する傾向にあります。
さらに、複数のプロジェクトを同時に行う場合には、デスクの幅を広げることが効果的です。

  • 読書、原稿書き
    本来の書斎に於ける基本的な作業です。机上に於ける読書空間にはある程度の空きが周囲に必要なため80cm
  • デスクトップPC 1台による作業
    デスクトップPC以外にもある程度の空きが周囲に必要なため80cm
  • デスクトップPC 1台+ノートPCによる作業
    キーボードを前面で使ってその右隣にノートPCを置くという設定で120cm
  • デュアルモニターによる作業
    デュアルモニター以外にもある程度の空きが周囲に必要なため150cm

再度書斎とは

【File 679】イラストレーター米山舞さんのアトリエ - マルゲリータお客様事例 - at SITE margherita

冒頭にある様に、主に知識人や文人の居宅に設けられた、読書や書き物をするための部屋であり、そこが主要な仕事場であり、現代で言うところの自宅兼仕事場であったと言えます。
この点を考えると現代社会に於いて本来の「書斎」の使われ方に最も近い職業は漫画家、あるいはイラストレーターではないかと考えられます。
そこに本来「書斎」と定義づけられていた性格の部屋の現代版があるとは言えないでしょうか。

漫画家の仕事部屋

漫画家の仕事部屋は基本的にワークデスクの使い方にあります。
仕事の効率を高める方法の一つとして、2画面+液晶タブレットを使用する手法があります。
液晶タブレットで作品を描き、サイドテーブルのディスプレイには描いているイラストがミラーリングで表示される設定です。

タブレットでは絵を拡大して描くため、作品の全体像は常にディスプレイで確認できる様にします。
主ディスプレイには、絵の資料や動画などを表示して作業の参考に、液晶タブレット用には、角度や高さを調整できるタブレットスタンドの使用、スタンドは折りたたみ可能なので、液晶タブレットを使わない時はデスク下に収納できます。
このため、作業とは少し離れた簡単な手書きの作業もこのデスクで行えます。

実例

File309 デスク下にプリンターを収納

寝室の緑に囲まれた壁面には、カウンター付きの本棚が設置され、その下にはプリンター台が配置されています。プリンター台は1段式で、A3用紙を収納できる仕様です。


File387 夫婦それぞれの書斎に

ご夫婦それぞれの書斎に壁一面の本棚 奥行250mmを設置いただきました。部屋のサイズに合わせてレイアウトされ壁一面をフルにお使いいただいています。


File393 リビングを書斎に|デスク付き本棚

デスクが南側の窓に面して配置され、本棚がデスクに付いています。PCモニターは開口部のそばの小さな壁に置かれており、この配置によってモニターが見やすく、落ち着いた雰囲気で仕事ができる環境が整っています。


File404 スタイリッシュな書斎レイアウト

以前は壁一面に奥行き350mmの本棚を使用されていましたが、今回はその3段目の棚板に高さを合わせて特注でアンダーカウンター本棚を製作しました。これにより、より効率的なデスクスペースが確保されました。


File449 スタンディングデスク+カウンター付き本棚

二階にあるご主人の書斎にスタンディングデスク付き本棚をベースにカスタムオーダーで作成したスタンディングデスク+カウンター付き本棚を設置いただきました。


File504 異国情緒漂う”隠れ家”の様な書斎

新しい住居の二間続きのリビングの一角に、壁一面に広がる奥行350mmの本棚を設置し、書斎としてご利用いただいています。帰国時に持ち帰った東欧風の特徴的なデザインの家具とお気に入りの文房具を配置したこの書斎は、小さな窓から差し込む陽光と相まって、どこか情緒豊かな雰囲気を醸し出しています。


File513 アニメーター夫婦の書斎レイアウト

ご夫婦ともにアニメーターとしてご活躍されています。このたび、ご自宅の書斎にはデスク付き本棚をベースにした壁面収納+作業デスクが設置されました。窓辺に広がる作業デスクとそれに並ぶ壁面収納に囲まれ、窓からの光を浴びながら快適にお仕事されています。


File524 ご夫婦で使う書斎

ご夫婦の書斎には、開口部のある本棚とそれに合わせて特注のTavola コンソールデスクを2台並べて配置されています。これらのコンソールデスクは、本棚のサイズに合わせて製作されたものです。窓から差し込む柔らかな光と、ダークブラウンの落ち着いた作業面が静かに調和しています。


File630 ワークデスクを最小に

書斎の壁面には、カウンター付きの本棚が導入されました。カウンターは4コマ分でカスタム加工されています。テラス窓に近い側は、採光を妨げずに本を収納できるように配慮されています。一方、奥のセクションにはカウンターが配置されています。このデザインは単純ですが、部屋の機能を損なうことなく、効果的に活用する基本的な手法です。


File644 書斎を兼ねた寝室の壁面収納

本棚の2段目の棚板に合わせて、ダイニングテーブルが配置され、広々とした書斎としてのワークスペースが確保されています。ダイニングテーブルを仕事机として使用する場合、その机の広さは非常に魅力的です。PCの作業だけでなく、書類を広げたり、複数の仕事に関連する資料を同時に参照したりする際にも十分なスペースが確保され、快適なビジネス環境が整えられます。


File667 吹き抜けを見下ろす書斎

吹き抜けを介してオープン階段を通って繋がる2階の大きなアルコーブに開口部のある本棚が設置されました。一部にはカウンター仕様が追加されています。


File668 無駄なく有効に書斎を作る

リビングに面して可動間仕切りで仕切られた部屋にデスク付き本棚を置かれ、窓下にロータイプ本棚を3列に加工したものを置かれています。更にデスク付き本棚の高さにあわせたStorage Cart キャスター付き収納およびそのデスクの下に潜り込める形でStorage Cart キャスター付き収納 ミドルタイプもお使いいただいています。


File691 部屋の両サイドにワークスペースを構える

カウンター付き本棚は6コマと2コマの2つのセットを、そしてアンダーカウンター本棚は4コマのものを2つ、合計8コマの配置で並べ、その前面の白い壁を広く活用されています。

考察

【File 806】相模湾を眼下に見渡す書斎に - Shelf 壁一面のA5判本棚 奥行180㎜ - マルゲリータお客様事例

近年言われている書斎の概念は、本来の意味からすれば少し異なる側面があります。
本来の書斎は、外出を極力控え、家族との交流を最小限にしながらその部屋で執筆に没頭する場所でした。
周囲には書籍や原稿用紙が山積みになり、座卓に座って床に腰を下ろし、そこで執筆に没頭する光景が思い浮かびます。
しかし、現代においてはこの概念が変化し、手書きはパソコンに置き換わり、書籍の利用も一部にとどまり、ネットを利用した作業が主流となっています。
さらに、打ち合わせも主にオンラインで行われるため、仕事場の設備は簡素化されています。
このような状況下では、在宅勤務と書斎の違いがあいまいになり、形態だけで議論するのはやや表面的かもしれません。

むしろ、書斎をワークスペースとして捉え、自宅で仕事をする場として考える方が自然です。
たとえば、スターバックスなどでPCを開いて仕事をする人が増えていることもあります。
また、電車の中でPCを使用する人も増えています。
これは以前は考えられなかった光景でした。
同様に、喫茶店で筆記具を使ってメモをとる人も増えています。
このような変化を考えると、自宅にワークスペースを設ける考えは、実は書斎の概念の延長ではなく、通信機器の発達と普及によるものかもしれません。
そして、そのような場所を現代では書斎と呼んでいるのかもしれません。